JV-1010の勧め


JV-1010を入手しました。今まで、同じローランドのSC-88ST PROという音源を使っていたのですが、クラシック音楽好きから見て、比較にならないほどJVの方がいいですね。GSよりワンランク以上の音ですし、オーケストラカード使えば、クラシック系の音は十分そろえることができるし、その気になれば波形を直接操作できるので、従来、GS音源で不満だった部分が完全にクリアされています。16パートという制限はありますが、室内楽なんかだったら、十分だし、オーケストラについては、手持ちのSC音源と組み合わせるか、あるいは、思い切って、JV-1010をもう一台追加するのもいいでしょう。

JV-1010にオーケストラカードを入れた場合のSC-88ST PROとの比較です。
木管、打楽器はそんなに大きな差はありませんが、JV-1010の方がワンランク上の音。ピアノはJV-1010のセッションのピアノなら専用のピアノ音源なみの音がしますので、ちょっとSC-88とは比較にならない。JV-1010の音聴いたらとSTを使う気にならないでしょうね。弦楽器、金管はオーケストラカードの圧勝で、音色の種類、内容とも格段の差。特に弦楽器は全部で80音色あって、アンサンブル音も楽器の種類別にあるとか、SC-88ではなんとも貧弱だったソロ楽器もまあまあ使えそうとか、決定的に違います。あと、SC-88だとコーラスの音色って、使い物にならなかったのですが、JV-1010の音色なら一応使えます。

この音源、音色の魅力もさることながら、波形をシンセサイザ並にいじって、音色作りできるのが魅力ですね。一つのパッチ(音色)は4つのウェーブを使って、波形の形、イフェクトを様々なレベルで変化させることができます。TVF、TVAなんかだと個々のポイントのレベルや経過時間、エンヴェロープのカーブの形まで指定できます。だから、GS音源では各音毎にエクスプレションやカットオフを使って、アタック感を弱めたり、音色を変えたりしていたのが、はるかに拡張して操作できます。音楽の表情に合わせて、音色を変え、いろいろな表現を求めることができそうです。
例えば、ヴァイオリンの弦の種類、奏法別のパッチとか、ピアノのハーフペダル、ペダルオンの音色とか、クラリネットの管別の音色とかできそうです。また、新しく作ったパッチはファイルとしてを作り、皆で共用するということが可能になります。JV-1010ではユーザ用のパッチは128個まで登録できますので、数は十分でしょうね。

MIDI操作ですけど、音源の初期化はパッチ(音源の初期設定、各パートの初期設定、音色/波形の初期設定を行うSysexを集めたもの)を送るという方式をとります。その後の実際の演奏はGS音源と同様にヴィブラート、ボリューム、パン、エクスプレション、コーラス、リバーブなどのCC(コントロールチェンジ)を送ってコントロールする行えます(値は音源の初期化を標準で行えば、GMと同じ)。アタック、レゾナンス、カットオフ、ディケイはCC 71-74を使ういますが、これもGM2では標準なのかな。

問題なのはこのあたりがマニュアルを読んだだけでは解読不能なこと。JV-1080やJV-2080ではパネルで全て操作できて、使われ方もキーボードと繋ぐスタンドアロンが普通だったのであれでよかったのかもしれませんが、JV-1010の場合、パネルではほとんどなにもできないし、パソコンと接続するオンラインでの使用が前提となっているので、あのマニュアルだけじゃ、どうしようもないと思います(このサイトの情報は海外のJV関連のサイトの情報をもとに、実機でいろいろ確認して調べたものです)。せっかくの音源、宝の持ち腐れとなる可能性がありますね。ローランド社に何とかしてもらいたいです。

まとめると、パート数、同時発音数と使い勝手を以外は、全ての面でJVはGSを上回ります。既に何らかのDTM音源をお持ちの方が新しく音源を追加するという場合は無条件にJVがお勧めです。DTMが初めてという方でも、室内楽やピアノ中心にやるというのであれば、こちらの方がいいでしょう。ただ、GSなんかと比較すると初心者向けとは言い難いので、最初は苦労するかな。まあ、GSだって、あのインプリメンテーションは最初からすらすら分かるということはないので、同じことかもしれませんが。



拡張ボードについて


JVシリーズの拡張ボードの内容についてはこのページを参照して下さい。
またパッチの内容の詳細については、このページをどうぞ。どちらも英語ですけど、とてもよくまとまっています。
という訳でここでは、クラシックファンからみた拡張ボードの評価です。
クラシック用に使えそうなJVのボードはオーケストラ 1、ピアノ、ワールド、スーバサウンドセット、アジア、オーケストラ 2 です。それ以外はいわゆるポッピュラー系のシンセ用のカードですので関係ないでしょう(なんでワールドとアジアがクラシックなのだといわれそうだけど、僕の趣味です^^;;)。それでは、先のサイトの内容からそれぞれのカードに対するコメントの紹介(引用部分)と、独断と偏見の僕の蛇足です。

オーケストラ 1
「オーケストラボードはエクスパンションボードシリーズの2番目に登場したカード。オーケストラ音楽や弦楽器が好きなら、聴くべし。これはJV-1080やXP50が出てくる前のものなので、その後のボードのようにEFXを使ったパッチは無い。」
上記コメントの通りで、クラシックファン必携のボード。特に弦楽器は楽器別に80種類も音色があり使えます。木管、金管、打楽器などもフルートを除き独自のウェーブが用意されており、いずれもクラシック向きなので、超お勧め。ソロも十分使える音なので、SCシリーズじゃちょっと難しかった室内楽もいけそうです。ピアノだけは学校にある古いピアノみたいな音で、いまいちかな。内蔵のセッションのピアノを使う一手。いずれにしても、クラシック用には、これとJV-1010セットとDTM音源として使えると考えた方がいいでしょう。JV-1010の場合、問題はこれだけでエクパンョンボードが一杯になっちゃうこと(^^;;;。

ピアノ
「これはシリーズ3番目のボード。JV-1080でコンセプトが大きく変わる前に登場したものなので、パッチはEFXを持たない。もしほんとにいいピアノの音を捜しているのだったら、これはお勧めじゃない。新しいセッションのボードには、素晴らしいグランドピアノの音がを持っているので、こちらを試すべし。しかし、このボードにはロードスピアノや電子ピアノのいろんな種類の音が入っているので、その面では役に立つかも。」
コメント通りみたいです(^^;;。実際にこのボードを持っているピアノ好きな人も同じこといってました。JV-1010にセッションのピアノはディフォルトで入っていますので、いらなさそうです。

ワールド
「もし、ちょっと違う音が欲しいとか、音楽に新しい音を追加したいとか、何か面白そうな打楽器が必要だというなら、このカードが最適。エスニックな音楽に興味がなくても、近所の楽器屋に行ったら聴いてみる値打ちあり。」

ローランドの宣伝文句から。

「このエスニック楽器の驚異的なコレクションはあなたのサウンドパレットを新しいレベルに引き上げるでしょう。多くのサンプルは様々な演奏テクニックを含んでいて、ループパフォマンスとかリズミックエレメントで構成されているものもあります。日本、アフリカ、アジア、中東、ヨーロッパ、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカなど世界各国の楽器のウェーブを集めたまったく独自のコレクションです。
個別のウェーブフォームに加え、内蔵音とこのボードの音を使う255のパッチが用意されています。エスニックな特徴と他にはない演奏テクニックにより、様々の使い方が可能で、とりわけサンウンドトラック用の作曲に有効でしょう。しかし、ワールドボードはそれに限定されるわけではなく、貴方の部屋に世界の音を響かせる最高の手段となるでしょう。」
欲しいなぁ。しかしボードに空きがない(^^;;;。

スーパサウンドセット
「これはシリーズの第7作。私は持っていなし、まだ聴いたこともがないので、このボードの音については何もコメントできない。」
持っているので、代わりに僕がコメントしましょう。このボード、クラシック音楽愛好家にはお勧めです。特に、古楽ファンは必携。
PCMカードのコレクションらしいのですが、ピアノ、ギター、ブラス、ドラム、古楽の弦楽器、ハープシコード、パイプオルガン、フィドルなどが入っています。この中で、オルガン、ハープシコードが出色の出来。ハープシコードはローランドのC20という電子チェンバロ(ディスコンになってしまっているようですが、素晴らしい楽器でした、息子が愛用しています)のウェーブをそのまま使っているようで、ハープシコードの上鍵盤、下鍵盤、4フィート弦、リュート弦の音があり、キーを離した時にピックが弦にふれて発生する雑音付きで、本物のハープシコード並のリアルな音です。オルガンもいいです。チャーチオルガンもSCみたいに只騒々しいだけ(^^;;ではなく、ホントにオルガンの響きがします。あとピアノ、フィドル、ギターなんかもまあまあの出来で、使えます。
クラシック音楽愛好家の究極のDTM構成はJV-1010を2台用意して、一方にオーケストラカード1を入れて、もう一方にスーパサンウドセット入れるというのがいいのじゃないかしら。これだと、128音、32パートとなりますので、余裕でピアノやオーケストラを鳴らせるし、マショーからクセナキスまでのジャンルの楽器をカバーをできるし、2台に分けることができるので、処理能力も十分確保できるでしょうから。
いちいちセットし直すは面倒なので、もう一台1010が欲しいなぁ(^^;;;。

コーラス
「多分、このボードの最大の特長はコーラスのサンプルだろう。素晴らしい音で、とても良い音がそろっている。
グレゴリアチャントを歌う音とかアーメンやアレルヤのフレーズはとても良くサンプリングされているけど、用途が限定される。それらは弾いていてなかなか面白いのだけど、実際に何に使えるのか私には分からない。ダバダバダという感じのジャズのスキャットもあって、これも凄いいい音。だけど、ローランドのシンセサイザを使ってジャズを演奏するとしても、人の声は本物の人間に歌ってもらうのじゃないかな。コーラスの音だけで十分値打ちのあるカードだけど、他に演奏したい音(ボード)がいろいろあるからなぁ....。」
これも持っていますけど、上のコメント通りですね。クラシックで使えそうな音は4種類位(Choir, Gregorian, Soprano, Boys)しかないですけど、音は素晴らしいです。合唱ファンには必携でしょうね。

アジア
「私はこのボードのデモを聴いただけで、個人的にこのボードで演奏したことはない。だから、ローランドのデモCDをお聴きになって、判断してください。私はワールドのエクスパンションボードを持っていて、それにはアジアの音が入っていて、それで十分間に合っている。アジアボードがとても役に立つかどうかは、あなたの嗜好次第でしょうね。でも、とにかく、シンセの中にいろんな音が入っているってのはいいことだけどね。」
これも良さそうですね。でも、JV2080+コーラスにワールドにアジア。宝くじでもあたらないかなぁ(^^;;。

オーケストラ 2
これはコメントがないので、Q&Aからの引用です。

「オーケストラ2コレクションはポップス系のオーケストラ音楽、映画やテレビの伴奏音楽などに最適で、新しいオーケストラ音とケルト音楽の音の驚異的なパッチを集めています。オーケストのサンプルはステレオの弦楽器、金管楽器、木管楽器、打楽器などの音からなり、ブレスノイズなどが入ったリアルな音です。ケルティック楽器は、最近の映画やテレビのサウンドトラックで良く聴かれますが、bosouki, uillean pipe, bodhran や clarsah harp を含みます。」
Niftyの情報によれば「弦楽器はオーケストラ 1 より良く、特にソロが上出来、管楽器はあんまりパッとしないが、ケルト系の楽器は気合が入っていて、素晴らしい」とのことです。
映画音楽とケルト音楽ファンにはお勧めかな、弦のソロがいいというのはちょっと魅力的ですね。でも、そろえていたら、きりがないからなぁ。

以上、まとめると、オーケストラカード1は必携。あとバッハ以前の音楽が好きな方はスーパサウンドセットがお勧め。その他は、好みでどうぞというところですかね。



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