DTMユーザのためのJV-1010の使い方 その2


「DTMユーザのためのJV-1010の使い方 その1」ではJVをマルチティンバで使うための基本的な考え方について書きましたが、ここでは、その後、FMIDICLAのゲネプロルーム(14番会議室)でJV用の初期設定ファイルを作ってみて、得たノウハウをまとめておきます。お付き合い頂いた皆様、どうもありがとうございました。
内容は、Sysexを使い、JVをマルチティンバーでコントロールする方法の概要は分かっていることを前提に書いてあります。よく分からんという方は「DTMユーザのためのJV-1010の使い方 その1」を先に読んで下さい。

・ ボリュームの設定の仕方

関連するパラメータは以下の通りです。

cc07 volume
cc11 expression
TempPerfPart Part-Level
TempPerfPart Mix-Send-Level
PerfTempPatCom Patch-Leval
PerfTempPatTone Wave-Gain
PerfTempPatTone TVA Tone-Level
PerfTempPatTone MIX-EFX-Send-Level

どれをいじってもボリュームは変化します。PerfTempPatToneのパラメータはトーン毎の、それ以外のパラメータはパッチ・パート全体のボリュームに影響します。

どう使ってもいいわけですが、お勧めは
cc07 volume : velocityレンジの補正
cc11 expression : クレシェンド・デクレシェンドなどの表情付けとvelocityレンジの補正
TempPerfPart Part-Level : パート間のバランスの調整
TempPerfPart Mix-Send-Level : 127固定(理由は「DTMユーザのためのJV-1010の使
い方」を参照)
PerfTempPatCom Patch-Level : パッチ間のバランスの調整
PerfTempPatTone Wave-Gain : ウェーブ音量の補正
PerfTempPatTone TVA Tone-Level : ウェーブ間の音量の調整
PerfTempPatTone MIX-EFX-Send-Level : Chorus、ReverveのSend-Levelとの調整
(普通は127固定)
です。

注意する必要があるのはPerfTempPatTone Chorus-Send-Leve、Reverb-Send-LeveやTVAのLevel-Envelop-Level1-3をいじっても音量が変わることです。この時はPerfTempPatCom Patch-Levelを修正します。

・ Panの謎

まったく、謎だらけの機械でありますなぁ(^^;;。

これ(Panの設定)は、結構、複雑です。前の「DTMユーザのためのJV-1010の使い方」を書いた時はよく分かってなくて、アップしたウェーベルの弦楽3重奏曲はビオラの位置が音域によって左右に動いたりしています(^^;;;。ようやく謎は解明できました(と思う)ので、書いておきます。

関連するパラメータは以下の通りです。

cc10 pan
TempPerfPart Pan-Level
PerfTempPatCom Pan-Level
PerfTempPatTone Tone-Pan
PerfTempPatTone Pan-Keyfollow
PerfTempPatTone RandomPan-Depth
PerfTempPatTone AlternatePan-Depth
PerfTempPatTone Pan-LFO-Depth

このうちcc10 panとTempPerfPart Pan-Levelは同じように機能します。ただ、cc10を送っても、TempPerfPart Pan-Levelの値は変わらないので、別の領域で管理しているようですが。

さて、以上のパラメータの中でPerfTempPatToneのPan-Keyfollow、RandomPan-Depth、AlternatePan-Depth、Pan-LFO-Depthがくせもので、それ以外のパラメータの値がどうなっていても、こちらで設定した内容が優先されます。例えば、Pan-Keyfollowが中点以外だと音域によってパンは動きますし、RandomPan-Depthが設定されていると音はかってに動き回りますし、AlternatePan-Depthが中点をはずれるとと音が左右交互に出てきます。クラシックの音楽じゃ、グロボカールでもなきぁ、演奏者が楽器をもってステージを駆け回るということはないはずですから(^^;;、以上の四つのパラメータは確実に中点にしておく必要があります(それぞれ7、0、63、63)。

従って、あと残るのは、PerfTempPatCom Pan-Level(a)、PerfTempPatCom Pan-Level(b)、PerfTempPatTone Tone-Pan(c)だけとなります。この三つの関係ですが、(a+b+c)/3でパンの値が決まるみたいです。僕は、PerfTempPatCom Pan-Levelで位置を決めPerfTempPatCom Pan-LevelとPerfTempPatTone Tone-Panは中点の63にするという使い方をしています。また、PerfTempPatTone Tone-Panはウェーブ毎に決められますので、複数のウェーブで構成される音色で、音に広がりを持たせたい時はここをいじるという方法をとっています。

・ 音色の作り方

どのウェーブを使うかという部分と、選んだウェーブに対して調整するという部分に分かれます。

ウェーブの選択

まず、どのウェーブを使うかですが、Patch Toneの頭のTone-Switch、Wave-Group-Type、Wave-Group-ID、Wave-Numberで指定します。エクスパンションカードを使う音色の場合、Group-Type、Group-IDはマニュアルに書いてない設定をする必要がありますが、「DTMユーザのためのJV-1010の使い方 その1」に設定方法は書いて置きましたので、参照して下さい。

オーケストラカード1ではオーケストラの主要な音について2〜3のウェーブのバリエーションをもっていますので、聴き比べて、選ぶということになります。この時、調整値をニュートラルにして、ウェーブの生の音を聴ける設定が必要です。僕は使いたいウェーブの入ったパッチを捜してきて、Chorus、Reverb、LFO、CutOff、Resonanceなどを常識的な値にするという方法でやってます(もっといい方法あったら教えて下さい)。

JVの場合、基本となるウェーブは、十分、高品質ですから、弦楽器を除いて単音でそのまま鳴らすという方向で問題ないと思います(トーン数を増やすと、同時発音の面でも問題になります)。実際、オーケストラカード1の木管、金管などの1番の番号のパッチは大部分が単音の設定です(オーボエは2音使っているように見えますが、Velocity=125 で、ウェーブを交換させているので、実質は一音)。弦楽器はアタック音が入るので、ソロ楽器だと2音。合奏ではソロの音を重ねた方がいいので、3音になります(2音でも使えないことはないが、ちょっと音色の魅力をなくすという感じです)。

あと、オーケストラ設定案ではティンパニーとオーボエだけでしかやってないのですが、velocity levelやkey rangeで使用するウェーブを変えることもできます。これ、巧く使うと、音の強弱や音高で音色が変わるのをシミュレートできますので、お勧めです。ディフルトのパッチでは内蔵のピアノ、パープ、オーケストラカード1のオーボエ、ティンパニーなどで、この設定しています。また、この方法はクロスフェードさせなければ、発音数は1として取り扱えますので、使いやすいです。Patch Tone の Controllerの Velocity-Range-Lower/Upper、KeyBoard-Range-Lower/Upperで指定します。Velocity-Range-Lower/Upperについては、Patch CommonのVel-Range-Switchがオンになっていないと無効ですので、ご注意下さい。

ウェーブの調整

Patch Common と Patch Tone をいじるということになります。
Patch Common は「DTMユーザのためのJV-1010の使い方 その1」に書いたようにイフェクト関連のパラメータはPerformance Commonにまかせるという形をとりますので、調整する部分はあまりありません。Patch Toneと無関係に操作できるパラメータとしては

 Analog-Feel   : 0-127 (p55)
 Bend-Range-Up  : 0-12
 Bend-Range-Down : 0-48 (p55)
 Key-Assign-Mode : 0-1 (POLY,SOLO p57)
 Solo-Legato   : 0-1 (OFF,ON)
 Portament-Switch : 0-1 (OFF,ON)
 Portament-Mode  : 0-1 (NORMAL,LEGATO)
 Portament-Type  : 0-1 (RATE,TIME)
 Portament-Start : 0-1 (PITCH,NOTE)
 Portament-Time  : 0-127 (p57)
 Octave-Shift    : 0-6 (-3 - +3 p56)
 Stretch-Tune-Depth : 0-4 (OFF,1-3 p56)
 Voice-Priority   : 0-1 (LAST,LOUDEST p56)
 Structure-Type : 0-9 (1-10)
 Booster    : 0-3 (0,+6,+12,+18 p59)

位ですね。
Analog-Feelはvelocityなんかもランダマイズするようで、細かい音で入れたティンパニーのロールなんかに効果的だと思いました。ただ、ロールの時、効果的な値と普通の演奏の時、効果的な値が違うので、使うとなると、Sysexをだしてリアルタイムに調整する必要があります。
Bend-Range-Up/DownはGMと同じ。
Key-Assign-ModeとSolo-Legatoについては「レガートコントロールについて」をご覧ください。
Portament関連のパラメータは、ちゃんと設定すれば、結構、使えると思います。Pitch Bendでやるより、こちらの方が楽でしょう。
Octave-Shiftはこちらは中点(3)にしておいて、Tone側で調整した方が紛らわしくないと思います。
Stretch-Tune-Depthはピアノ用ですね。
Voice-Priorityはこの状態になる以前に、もたるから、使い道なし(^^;;;。
Structure-Type、Boosterはシュトックハウゼンやるのによさそうですけど、ちょっと普通のクラシックじゃ使い道なし。
という感じです。

Patch Tone側の操作については、以降に書きます。

・ TVAの使い方

JVで音色を操作する時、一番、頻繁にいじるのここです。
TVAによるコントロールは7つ部分に分かれます。

0. トーンの基本となるレベル
 Tone-Level   : 0-127
 複数のトーンを使う時のバランス調整用に使います。

1. キーの高さによるレベルの効き方の調整
 Bias-Direction : 0-3 (LOWER,UPPER,LOWER&UPPER,ALL)
 Position    : 0-127 (C1-G9)
 Level     : 0-14 (below)
   -100,-70,-50,-40,-30,-20,-10,0,10,20,30,40,50,70,100
 ディフォルト(オーケストラカードだと3,60,7で無効化させています)でOK。
 弦のアタックを高音程強くしたいなどという時にはここをいじる。

2. ヴェロシティによるレベルの効き方の調整
 Vel-Curve   : 0-6 (1-7)
 Vel-Sens    : 0-125 (-100 - +150)
 重要。通常は0,100位がちょうどいいです。後は、表現と使用する楽器音色次第ですかね。「コントローラについて」の項も参照してください。

3. ヴェロシティによるアタック、リリース時間の調整
 Time1     : 0-14 (below)
   -100,-70,-50,-40,-30,-20,-10,0,10,20,30,40,50,70,100
 Time4     : 0-14 (same as Time1)
 普通は中点の7でOK。あとは使う楽器と表現次第。

4. キーの高さによるTime2-4時間の調整
 Time-Keyfollow : 0-14 (same as Time1)
 つかったことないのでよく分かりませんが、ディフォルト(7)のままで十分。

5. アタック、ディケイ、リリース時間とレベルの調整
 Level-Envelop-Time1-4/Level1-3 : 0-127
 ここは表現にあわせていじって下さい(特に弦楽器)。

6. LFOによるアタック、ディケイ、リリース時間とレベルの調整
 LFO 1-2 Depth : 0-126 (-63 - +63)
 LFOはTVF、Pitchなどと連動するので、使い辛いです。中点(63)にしておくのが無難です。

それぞれのパラメータの内容についてはマニュアルを見て下さい。いわゆるDTM音源と比較して、コントロールの範囲が相当に広くなります。ここをいじると、ヴェロシティの効き方、アタック/リリースなど音の表情が変わりますので、曲データのヴェロシティやデュレーションも再調整が必要になります。

・ コントローラの使い方

これもJVの音色コントロールでとても便利な機能ですが(^^)、とても複雑怪奇な動作をして(^^;;、とても分かりづらい(^^;;という特徴があります(^^;;;。この機能を理解しないと、JVをMIDIで使いこなすことはできないので、以下、説明します。

一つのパッチに3つコントローラがあり、一つのコントローラで最大4つのパラメータをリアルタイムに操作できます。指定できるパラメータはピッチ、カットオフ、レゾナンス、トーンレベル、パン、ミックスレベル、コーラス、リバーブ、PitchLFO1/2、TVF-LFO1/2、TVA-LFO1/2、Pan-LFO1/2、LFO1/2-Rateの18種類。指定の仕方はPatch ToneのController領域を使い、
 Controllers-Destination : 0-18 (below)
   OFF,PCH,CUT,RES,LEV,PAN,MIX,CHO,REV,PL1,
   PL2,FL1,FL2,AL1,AL2,pL1,pL2,L1R,L2R
でどのパラメータか
 Depth : 0-126 (-63-+63 p67-p68)
でパラメータの効き方を指定できます(Controllerは1-3、Destination/Depthは1-4まであります)。
一つのコントローラで4つのDestination/Depthがありますので、例えばカッオフとリゾレナンスを同時に操作するということができて曲の途中で音色を簡単に(sysexを使わないで)変えたいという時に威力を発揮します。
オーケストラカード1のディフォルトでは、コントローラ1/2がヴィブラートの設定、コンローラ3がエクスプレションの設定となっていて、コントローラ1/2については、PL1、AL1、L1R、LEVなどを複数個指定しています。

さて、ここから話がややこしくなるのですが(^^;;。

コントローラ3ですけど、オーケストラカード1のディフォルトでは、Destinationがトーンレベル(4)になっています。そしてコントローラ3としてはエクスプレションが指定されています。Depthは音色によりますが、大部分は中点(63)よりかなり大きい値が指定されています。従って、コントローラ3の値を大きくすると、トーンレベルは大きく変化し、小さい値をとると、あまり変わらないということになります。
さて、コントローラ3に指定されているエクスプレション(cc11)ですが、ディフォルトの設定(System-Common Vol-Control-Source=1)では、本来のエクスプレションとしての機能は同時に有効となります。これ、どういうことかというと、cc11でエクスプレションの値を変えた時、本来のエクスプレションでの音量の変化とコントローラ3としての音量の変化が同時に機能し、最終的な音量が来まるということです。そして、この二つの音量のミックスの仕方ですが、掛け算ではなく、足し算になっているようです。
結果としてどういうことになるかというと、エクスプレションで音量を変化させた時、大きい値をとると、音量が極端に大きく変わり、小さい値をとると、あまり変化してくれないということになります。
また、この足し算で効くという関係はヴェロシティなんかでもいっしょみたいで、初期設定でエクスプレションが大きい値になっていると、ヴェロシティをある値以下に下げても音量はほとんど変化しないという形になります。「DTMユーザのためのJV-1010の使い方 その1」で、JVはヴェロシティ30以下で音量変化しないと書きましたが、その原因は、多分、これだと思います。(ヴォリューム cc=7 は掛け算で効くようです。)

次にさらに話はややこしくなりますが(^^;;;。

Controller1-3として、何を使うかも、自由に設定できます。システムコントローラ1、2として定義されたCC(1-95)、PB、AFTと、独自に選べるMODURATION,BREATH,FOOT,VOLUME,PAN,EXPRESSION,PB,AFT,LFO0,LFO1,VELOCITY,KEYFELLOW,PLAYMATEを指定することができます。
Patch Common
 Patch-Control-Source  : 0-15 (below p58)
   OFF,SYS-CTRL1,SYS-CTRL2,MOD,BREATH,FOOT,VOL,PAN,EXP,PB,
   AFT,LFO0,LFO1,VEL,KEYFELLOW,PLAYMATE
Patch-Control-Sourceは二つ指定でき、それぞれコントローラの2、3に対応します(コントローラ1はMODURATIONに固定)。前の説明で書いたように、それぞれの機能とコントローラとしての機能は同時に働きます。
システムコントローラ1、2に何を使うかは、System Commonの
 System-Control-Source : 1-97 (CC01-CC05,CC07-CC31,CC64-CC97,PB,AFT)
 (Control-Source p97)
で指定できます。
文章だけでは分かりにくいと思いますので、図示すると

 System Common       Patch Common        Patch Tone
-------------------------------------------------------------------
               Patch-Control-Source1
                MODURATION      → Controller1
               Patch-Control-Source2  → Controller2
               Patch-Control-Source3  → Controller2
                OFF,
 System-Control-Source1 →  SYS-CTRL1,
 System-Control-Source2 →  SYS-CTRL2,
  CC01-95,          MOD,
  PB,            BREATH,FOOT,VOL,PAN,EXP,PB,AFT,
  AFT            LFO0,LFO1,VEL,KEYFELLOW,PLAYMATE
-------------------------------------------------------------------

となります。

オーケストラカード1のディフォルトでは
% System-Control-Source 1/2  = 97 2
% Patch-Control-Source 2-3  = 10 8
となっていますから、システムコントロールは未使用で、コントローラ2がアフタタッチ、コントローラ3がイフェクトとなります。

・ アフタータッチについて

コントローラと関連するので、ここに書いておきます。
上記のコントローラ2/3はアフタタッチとしてチャネルアフタタッチとポリフォニックアフタタッチの両方を使うことができます。どちら(両方)を使うかはSystem Commonの
 Aft-Control-Source   : 0-2 (CHANNEL,POLY,CHANNEL&POLY)
で指定します。
ただ、ポリフォニックを指定しても、コントローラの効き方の指定として使用するvalueはノートナンバーとなりますので、結局、KEYFELLOWを指定したのと同じことになり、MIDIで使う分には、あまり意味はなさそうです。

ディフォルトでは、Aft-Control-Sourceはチャネルアフタタッチ(0)が指定され、Patch-Control-Source 2はアフタタッチ(10)になっています。コントローラ2はパッチによりさまざまですが基本的には、PL1,(AL1,(LEV))をDestinationで指定しており、軽いヴィブラートをかけるという使い方になっています。

・ ヴィブラートのかけ方

音高(Pitch)の変化、音量(TVA)、音色(TVF)の変化でヴィブラートを表現するというのはGSなどと同じです。

音高の変化のよるヴィブラートのコントロールはPitchのパラメータを使います。Pitch LFOの値でヴィブラートの振幅を、LFOのrateでヴィブラートの周期を指定することができます。
音量(TVA)、音色(TVF)でヴィブラートを表現する場合も同様で、それぞれのLFOの値でヴィブラートの振幅を、LFOのrateでヴィブラートの周期を指定します。

このへんの考え方は、基本的には、GSで、cc01を使わず、sysexを使って、ヴィブラートをかける場合と同じですので、理解は容易でしょう。

分かりにくくなるのは、JVではこの方式でのヴィブラートをコントローラ1/2を使ってかけているためです。

オーケストラカード1のディフォルトでは、コントローラ1とコントローラ2はヴィブラート用に設定されていて、それぞれcc01とアフタータッチに割り当てられています。ヴィブラートのかけ方は音色により様々です。また、コントローラ1とコントローラ2でのヴィブラートのかかりり方は多少ちがっています(多分、鍵盤を弾いた時とモジュレーションウィールを操作した時で効果を変えるということだと思います)。ディフォルトの設定じゃ気に入らないという時は、コントローラのDestination、Level、及びLFOのrateの値をいじる必要があります。

・ 弦楽器アタックのコントロール

上記コントローラを使い、弦楽器のレガートをシミュレートすることができます(提案者 永田さん)。

やり方ですが、コントローラ3を弦のアタック(スピカートの音) のトーンのみを有効とし、有効にしたコントローラ3のDestinationをトーンレベル(4)に指定し、Depthを40位の値に設定します。次にディフォルトではコントローラ3はエクスプレションになっているので、これをシステムコントローラ2(2)に変更して、システムコントローラのコントロールソー
スをペダル(64)に変えます。これでペダルオンでレガートの音、ペダルオフでアタックの効いた音に切り換えることができます。またペダル(cc=64)の数値を変えると、レガートの程度(アタックの強さ)を段階的にコントロールさせることができます。

弦のアタックのトーンのTVAのVel-Curve/Senseは標準値(0,100)にするのが、よさそうです(永田さんの提案はVel-Curve=1なのですが、これだと段階的なコントロールが難しくなる)。トーンレベルは聴いて好みで設定。

サンプルで同梱したオーケストラ初期設定、室内楽初期設定のMIDIファイルにある弦楽器は全てこの方法でチューンされています。

・ 楽器奏法のノイズ音について

アタック音については上記の通りですが、他の楽器奏法に伴うノイズはどうやって設定するのか。
管楽器のブレス音など、楽器音の鳴り始めから始まるノイズについては、アタック音と同様に処理できます。問題なのは鳴り終わりに入るノイズですけど、ノイズ音を指定したPatch ToneのTone-Delay-Mode=5を指定すればOKです。

 Tone-Delay-Mode : 0-7 (below)
   NORMAL,HOLD,PLAYMATE,CLOCK-SYNC,,
   KEY-OFF-N,KEY-OFF-D,TEMP-SYNC

・ FXMについて

これリングモジュレータと同じで使いようがないなと思っていたのですが、意外な使い道を発見。ミュート(弱音器)をつけた金管楽器や弦楽器に使えます。やり方はメインのを空いているトーンにコピーしごく軽くFXMをかけて重ねるという方法です。弱音器をつけて歪んだ音の感じが出てくれます。

・ Pitch、TVFの使い方

とタイトルを付けたのですが、あまり書くことはありません。
それぞれ、Time1-4とレベル(Level1-4)を指定できるようになっていて、Velocity Sense、Velocity Time1/4、TimeKeyfollowも指定できるのですが、使い道が分かりません(^^;;;。巧い使い方あったら教えて下さい。LFO1/2は値を変えると、前述したヴィブラートのかかり方が変わってきます。

PitchのFine-Tuneについては、二つの音色をかさねて、ここをいじって、微妙な音程成分を付加するという使い方があります(ディフォルトでも、そういうパッチがあります)。古楽器の音色作りなんかに使えるかもしれません。
Random-Pitch-DepthはSFX用だろうし、Pitch-Keyfolllowはパーチ風の変な音階のヴァーチャルな楽器作るのにいいのかしら(^^;;。

TVFのレゾナンスとカットオフについてはGSと同じですね。Key-followさせたり、Velocity-senseさせたりできますので、調整の範囲は広がります。

あと、panについてもPitch、TVF、TVAと同じようなことができるのですが、グロボカールの曲でもなければ、音の高さや音の強さに合わせてステージを走り回る必要はないので(^^;;、却下(すべて中点)です。

・ 同時発音数について

JV(だけでなく、多分、ローランド社の音源共通の問題だと思いますが)の場合、リリース音が長く残る設定をすると、同時発音数を想像以上に暴食します(^^;;。

リリース音の長さはPatch ToneのTVA Time4で決まります。この値ですが、JVのオーケストラカードの弦楽合奏やティンパニーの音色ではかなり長めの値が設定されています。具体的には弦楽で40-70、ティンパニーでは90を超える。他の音色では40以下。また弦楽器の音色は複数のトーンを使っているので、リリースはその数の分、残ることになります。
JV-2080のInfo画面でヴォイス数をリアルタイムにモニターできるのですが、これを使ってチェックすると弦、ティンパニーの音色はリリース音が1〜2秒残っているようです。

で、どういうことになるかというと、例えば、弦合奏の2つのトーンで構成されている音色でアレグロMM=120、16分音符で刻むと2(発音)+2×8(一秒間、リリース音)=18音使われることになります。弦五部でこれをやると、18×5=90となり、軽く64音をこえちゃうわけです(^^;。弦のトレモレやティンパニーのロールで、細かい音を入力してやると、もっと悲惨なことになりまして、弦楽器1パートで64音を使い切ることも軽くできます(^^;;;。

JVの場合、64音を超えると、リリース音を優先して発音停止させるというアルゴリズムのようなので、この状態で音が切れるということはないのですが、リリース音の発音停止にシステムの負荷がとられ、他の音の発音がもたるという状態になります。有名な^^;;;、SC8850の初期障害ですけど、多分、この処理がもっとまずくて、音切れしたのじゃないかと思います。

ヴォイスリザーブ機能はあるのですが、これはパート毎に鳴っている音をいくつ確保させるかという指定なので、ある特定のパートが盛大に発音数を暴食するのを止めることはできません。

ローランド社のサイトにもこの情報は書いてあります。

> ■JV-1080 / JV-2080 Q&A
>  概要:再生時のもたつきや途切れの回避策を掲載しました。
>     http://www.roland.co.jp/cs/faq/JV/index.html

もたつく原因は同時発音数のオーバ、LFOの多用、曲中のプログラムチェンジ、Sysexの送信などがあり、回避策は、それぞれ、オーバしないこと、多用しないこと、適当な位置に置くこと、適切な送信するタイミングを選ぶこと、だそうです。リリースの件もちゃんと書いてあります。

というわけで、「うーむ。この音源を使うには、清貧の思想。ボイスを倹約し、つつましく音を鳴らすしかなさそうです(^^;;」であります。

・ レガートコントロールについて

このトピック、同時発音と関連するので、ここに書いておきます。Patch Commonの Key-Assign-Mode と Solo-Legato を両方とも ONにしておいて(レガートコントロールが有効な状態になります)、前の音のノートオフする前に次の音をノートオンすると、そのままの状態で音高だけが変化します。このやり方をとると、ノートオフの処理が入らないようで、リリース音による発音数の大食いが発生しません。これはSCなどの音源でピッチベンドを使って速いフレーズをアタック感なしに一息に演奏させるのと同じような効果があります。使い道としては、トリルなどの速い(同時発音だ盛大に発生する)パッセージをこれでやると、結構効果的な場合があります。
演奏中にこの設定を変えるにはSysexを出すしかありませんが、ピッチベンドでやるよりは簡単で、リリース音対策にも有効です。ただし、使っている音色によっては、変になっちゃうこともあるのですが。

・ おわりに

長い長い長文(^^;;;、お付き合い頂きありがとうございました。JVシリーズですが、DTM音源として見ると、同時発音の不足、MIDIデータに対するレスポンスの悪さ、分かりにくいマニュアル、コンピュータからコントロールするソフトが無いことなど、問題点だらけですが、その音色は従来のDTMにはない素晴らしいもので、捨てがたい魅力があります。
上記した問題点は使いこなしで、ある程度、解決できるものですから、この音源の素晴らしい音色を活かしたクラシック音楽のMIDIデータが増えるといいなぁと思います。また使いこなしで、新しい方法を見つけたら、是非、皆で共有しましょう。素敵なMIDIデータや情報をお待ちします。

あと、JVのコントロールですが、シンセサイザの音源という位置づけから、基本的には一般のシンセサイザのコントロールの考え方と一緒です。「DTMユーザのためのJV-1010の使い方 その2」をここまで読んだけど、何がなんだかさっぱり分からんという方は、一般のシンセサイザの使い方を解説した本やウェブサイトの情報が参考になると思います(この情報最初に書いておくべきだったかな^^;;)。





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