GigaStudioの使い方

1番ライブラリにアップした「鳥の歌」をリメークしてみて、多少、GigaStudioの使い方が分かってきたので、簡単にご紹介します。尚、GigaStudioという名前は長いので、以下、GStと表記します。

1.音色(サンプラCD-ROM)の選択

これは従来のDTM音源では、ほとんど選択の余地がないのですが、サンプラの場合は非常に重要です。曲に合わない音色はいくら加工しても、しょせん限界があるので。これで勝負の半分位は決まると思います。

問題は実際に試してみて決めるとなると、金のかかること(^^;;;。

とても、そんな資金力はないので、インタネットでデモ版を捜す、ウェブサイトの情報を集めるなどの手を使うことになります。お勧めなのはGSt関連の掲示板の情報ですね。プロの制作者が一杯書き込みしていて、最新の情報や、忌憚のない意見が書かれていて、なかなか参考になります(URLについては過去の僕の書き込みを参照して下さい)。
あと、残念ながら日本語のウェブサイトの情報はほとんどありませんね。まあ、どうせ日本では購入もできないわけだから、諦めて(^^;;;、英語で情報捜しするしかないみたいです。

2.フォーマット変換

CDXTRACTというソフトがお勧めです。ほとんどのメイジャーなフォーマットに対応していますし、かなりの精度で変換してくれます。

今回は、XSample、Dan Dean、Rolandのチェロと GigaPianoのピアノを使っいますが、XSampleとRolandのチェロについてはそれぞれAKAIとRolandフォーマットからgigフォーマットに変換して使用しています。
まあ、このソフトもオンラインのシェアウェアなので、フランスのウェブサイトから注文するしかないのですが。

3.音色の決定

「鳥の歌」ではチェロのパートの大部分はXSampleシリーズのvol 7のチェロの音を使っています。

このCD-ROMはオーボエダモーレ、チェンバロ、クラヴィコードなど古楽向きの音色が入っているので、買ったのですが、どういう訳か、チェロがセットになっています。このチェロの音はヴィブラートが多めで、ウェブサイトの情報では、あまり評判はよくないのですが、p、mf、fの3種類の音が半音毎にサンプルされており、いろいろな表情の音があるので、「サンプルをとっかえひっかえ」という実験に最適と考え、使うことにしました。

あと、Dan Dean(これは、たまたま、Nemesysのサイトで99ドルで安売りしていたので、購入^^;;;)のチェロの音も悪くないのですが、sustain音は一種類だけなのと、Xsampleとまぜちゃうと、音色が不統一になっておかしくなるので、曲の頭と終わりの部分で、雰囲気を変えるのに使っています。Rolandのチェロは古いサンプルなので、音はいまいちですね。ただ、ハーモニクスの音はリアルなので、これだけ利用しました。

ピアノの音については、ウェブサイトの情報では、EastWest社のStainwayが評判がいいのですが、軍資金がないので、Gigapianoで我慢(^^;;;。

4.音色の調整

GStの場合、サンプルをコントロールする情報を操作するという方法(GiagEditを使う)とサンプルのウェーブそのものを操作するという方法(外部のウェーブエディタを使う)があります。

後者の方が操作できる範囲は広くなりますが、手間は大変です。例えば、ピアノの88鍵の音をアタックをちょっと遅くしようとすると、エディタ側の操作はバッチ(一括)処理させたとしても、88回のウェーブの出し入れが必要となり、確実にメゲます(^^;;;。

前者のGigaEditを使ってサンプルのコントロール情報をいじるという方法だと画面に表示されるピアノのキーボードで範囲を指定して、全てのサンプルを一括で更新するということができますので、こちらの方がはるかに簡単です。

コントロール情報で操作できる内容はアタック、ディケイ、サステイン、リリース、ヴィブラート、ピッチベンド、チューニング、フィルター(カットオフ、レゾサンス)などGSレベルのオペレーションはカバーしているので、普通はこれで十分です。またヴェロシティスイッチの効き方やクロスフェードのさせ方などもGUIで操作できるので、とても便利。

「鳥の歌」では、チェロのレガートの音を作るのにアタックとカットオフを操作しています。また、ピアノの弱音の音を活かすためにヴェロシティスイッチをいじっています。

5.音色のリアルタイムでの操作

以前のメッセージでGStはリアルタイムで音色が操作できる範囲はGM並と書きましたが、取り消します。GS以上、JV並のコントロールが可能ですね。
ただ、操作の仕方がDTM音源とは大きく異なるので、最初はめんくらいます。

音色の調整で行った内容をディメンジョンに保存して、ディメンジョンをMIDIデータのccを使い切り換えるという形で、リアルタイムに音色を切り換えることができます。

一つの音(レイヤ)に最大32のディメンジョンが定義出来ますし、足らなければ、インスタルメンツ(複数のレイヤで構成された楽器)を定義しなおして、いくらでもディメンジョンは増やせますので、コントロールの自由度はGSなどより高いと思います。また、ディメンジョンとccの関連付けは自由ですので、シーケンサやキーボードから入力しやすいコントローラを選ぶことができるのも便利です。

ディメンジョンの定義もGUIで簡単に出来ますので、操作は簡単。また、GStからGiagEditを呼び出せば、定義したディメンジョンの音を楽器のキーボードで音を確認しながら、調整できますので、効率よく音色エディットできます。

「鳥の歌」ではアタックとレガート音の切り換えを、ディメンジョンを使って、やっています。Cakewalk側でccを一発で入力するマクロを用意し、用意したマクロをファンクションキーにキーバインディング。キー操作だけで、音色の切り換えが出来るようにして、入力しました。
これで、MIDIデータ演奏しながら、ボタン一つでボーイングをシミュレートできるので、楽です。

6.イフェクトの調整

GStの場合、イフェクトの種類はあまり種類はありません。リバーブ、コーラス、ディレイ、イコライザだけです。サンプラはサンプルの音をそのまま鳴らすことが仕事で、音を加工するのは他のツールにまかせるという考え方なのでしょう。サンプルを自由に選ぶことができるので、クラシック音楽の打ち込みだと、必要なのはリバーブ位ですから、これで十分です。

操作は全てGUIで可能。イフェクトのパラメータはccとリンクさせて、リアルタイムにイフェクトのかかり方をコントロールすることも出来ます。

今回はリバーブを小ホールに設定して、パラメータを、多少、変更。
MIDIデータを演奏させ、リアルタイムに設定画面からパラメータをいじって、効果を確認しながら、調整できますので、便利ですね。

あと、当たり前ですけど、以上の音色の決定からイフェクトの調整までの設定内容はディスクに保存し、自由に呼び出すことができます。

7.MIDIデータの調整

これはDTM音源の場合といっしょです。ヴェロシティ、デュレーション、テンポ、エクスプレション、モジュレーションなどを操作して、音楽作りをするということになります。


以上、ソフトサンプラって何という説明抜きに書いたので、分かりにくいところもあるかと思いますが、ともかく操作は簡単です。JV、Csoundと茨の道をたどってきたことを思い出すと、ほとんど天国。完全にGUIで出来るという意味ではDTM音源より楽です。パソコンの画面をフルに使って、マウスを振り回せば、何でも出来るというのは本当にいいですね。コントロールのコンセプトがDTM音源とはちょっと異なるので、慣れる必要はあるのですが、分かってしまえば、「猿でもできる」(^^;;;世界だと思います(JVのようなMIDI音源に近いのですが、GUIで操作できるという点では、圧倒的にこちらの方が便利)。

スティーブ・ジョブスがいうように、「パソコンを使って、簡単に自己表現が出来る」時代がいよいよ到来したなぁと感じました。


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