Win9x音楽環境の作り方
GigaSamplerのメーリングリストを読んでいたら、
"Tuning Tips for Low Latency Operation"
http://www.rme-audio.com/english/index.htm
という情報を見つけました。技術的にしっかっりした記述で、参考になると思いますので、ご紹介します。詳細は上記URLにどうぞ。ドイツのデジタルオーディオ機器のメーカのRME社のウェブサイトです。
以下、RME社より日本語で紹介する許諾をもらってあります。ただし、相当、過激に意訳してあり(^^;;;、かつ大意のみです。従って、文責は全て僕にあります。著作権はRME社にあり、二次著作権は僕にあります。転載にはRME社と僕の書面による同意が必要です。内容は全て無保証です。at your own riskでお試し下さい。
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Win音楽環境の作り方(Tuning Tips for Low Latency Operation)
By Matthias Carstens, Copyright 2000
==========================================================はじめに
ついに、特別なハードウェア無しで、パソコンの中に完璧なオーディオスタジオを作りあげることが出来る時代が到来しましたね。これをうまくやる秘訣はローレイテンシィのシステムを作り出すこと。ローレイテンシィというのはパソコン内の音の入力と出力の時間差を出来る限り小さくすることです。まずは三つの基本要件
Win98って、Office向きの非音楽的なOSですけど、ちゃんとセットアップしてやれば、ソフトウェアシンセサイザやサンプラを動かすことは可能です。最小1.5ms位で、Win98を安定したローレイテンシー動作をさせることは可能です。以下の内容はそのためのTipsです。音楽環境に限らず、効率よくWindowsを使うのに役立つはずです。
次にOSのインストール DAW向きのハード構成をとること(DAWというのは Digital Audio Workstation の略称。お勧めのハード構成についてはRME社のサイトを参照) ウィンドウスをフォーマット済の空のディスクにインストールすること(いわゆるクリーンインストールすること) MS OfficeなどDAWに不要なアプリケーションをインストールしないこと(特にMS Officeは諸悪の元凶^^;;;、絶対にインストールしないこと) 信じられないでしょうが(^^;;;、Win98 SEのイントールは標準のままで十分性能が出るようにセットアップされています。以下は我々の好み。
- Accessiblityを外す
- Accessoriesは、Wordpadを除き、全て外す
- Address Book(とOutlook Express)を外す
- Communicationsは、Phone DialerとNetmeetingを外す
- Internet Toolsを外す(残念ながら、IEは無理矢理付いてくるけど^^;;;)
- Online servicesを外す
- System Toolsは、Drive compressionを外し、System Monitorを入れる
- channelsの設定は"none"
インストール直後にコントロールパネルのキーボードで
- "Repeat delay"を最小化(一番右に)
- "Repeat rate"をfast(目盛りで右から5番目位)
を設定すること。
そして「絶対やらねばならぬ」必須のチューニング項目バスマスターオペレーションを有効化させる どんな速いディスクを使っても、バスマスタが無効だと、CPU負荷が高くなり、抜けが発生する。Windowsをクリーンインストールするとバスマスタは無効になっているので、必ず有効化すること。全てのハードディスクとCDROMが対象。
また、バスマスタはリムーバブルディスクの抜き差しなどで無効化されることがるので、定期的にチェックすること。
ディスクキャッシュを制限する Cubaseのインストールなどで有名なTipだけど、一般にいわれているメモリ量は多過ぎる。16MBもあれば十分。System.iniを
[vcache]
MinFileCache=16384
MaxFileCache=16384
とする。
このセッティングはオーディオ関連のソフトウェアが使うバッファ長とは無関係なことに注意。
CDROMの自動検出を無効化 この機能もディフォルトでは有効なので、無効化させること。有効のままだと1秒おきにCDROMをチェックする割り込みが発生し、この時、バスとCPUが占有されるので、音抜けの原因となる。また、CDROM書きのプログラムによっては勝手に自動検出を有効化しちゃうという、とんでもないものがあるので、注意すること。
システムサウンドを全てオフ プロ用のオーティオカードをWindowsのメディアプレーヤで使うななどとヤボなことは言わないが、システムサウンドは「100害あって1利無し」。だから、根絶すること。
最適の Color Depth を選ぶ 「256色がいい」というチューニングチップをインタネット上でよく見かけるけど、これはウソ。お勧めは65k/16bitのハイカラー。
理由は最近のグラフィックチップとドライバは16bit以上の Color Depth に最適化されていて、256色(8bit)では、かえって、CPU負荷をくってしまうから。
「やれたら、やったら」というチューニング項目
- スクリーンセーバを止める
見るにはいいけど、音には毒。さっさと止めるべし。
- パワーマネージメントを止める
地球環境の保護は大事だけど、オーディオデータを扱わない時のこと。オーディオデータを処理する時には、突然機能してビックリさせられるだけの無用の長物。抹殺すべし。
必須ではないけど、「やりたきゃ、やったら」というチューニング項目
- Windowsを黙らせる
何のこと? "animated windows"のこと。あれ、グラフィックカードのハードアクセレータ機能でサポートされていないので、CPUを馬鹿食いする。カッコいいけど、アニメーションさせると、確実に音飛びを発生させるので、止めた方がいい。
ちなみに、NTだともっと音飛びはひどくなる。
- タスクスケジューラを止める
「皆が知っている、だけど誰も使わない(^^;;;」機能の代表。システムトレイのシンボルだけど、さっさと、おさらばしよう。
- tooltipsを止める
カーソルをそばにもっていくと出てくるヤツ。これもグラフィックカードのアクセレション機能ではサポートされていないので、CPUを馬鹿食いする。なかにはスクロール表示するヤツもあって、ほんとに凶悪。うるさいだけだし、止められるなら、止めた方がいい。
- taskbarのスクロールを止める
上記と同じくCPU依存のグラフィック処理。画面を広く使うにはいいし、音抜けを発生させる訳ではないのだけど、CPUの無駄使いであるのは事実。
インタネットで良くみかけるけど、やる意味のないチュニング項目
- グラフィックカードのハードウェアアクセレションを下げる
これは期待と逆の結果をもたらす。System, Performance, Advanced Settings, Graphics, Hardware accelerationなどのアクセレーションを減らすということはCPU負荷を高くするだけ。
- 仮想メモリ(スワップファイル)のサイズや場所を変える
System, Performance, Advanced Settings, Graphics,Hardware acceleration などの設定はWindowsにまかせた方がいい。Windowsはこれらのパラメータを完璧に取り扱ってくれるので、余計な変更はリスクがあるだけ。得はない。
どこかの国の首相がゴルフ場でいったように(^^;;;、ユーザは「変に動きまわると、事態を混乱させるだけ」です。Windows遊びに専念すればいいのです。メモリが足りなきゃ、RAMを買えばいいのです。
さすがにオーディオカード専業メーカの技術者が書いているだけあって、ローレイテンシ対応のチューニングの秘訣が的確に記述されているなという感じですね。Windows9Xのコンベンショナルメモリへの対応が抜けているのですが、まあ、これはアプリケーションに依存するからでしょうね(GigaStudioの場合は必須です)。
最初の基本3原則の中で、Officeをインストールするなといのはナルホドなぁと思いました。Wave処理程シビアでないMIDI演奏でもWindowsだとモタルのはこれが理由でしょうね。原文には何故かという理由まで書いてあるから、興味のある方は参照して下さい。
あと、最後の「やる意味のないチューニングに項目」に関しては、いろいろやってみて、僕も同感です。
まあ、この通りキチンとやろうとすると、GigaStudio用にdedicateされたシステムにするか、デュアルブートするかしかないのですが、そのあたりについては僕の以前のメッセージを参照して下さい。