・ GStを動かすのに必要なハード性能
パソコンのハードウェアの性能があがって、ようやく、ソフトサンプラが従来のハードサンプラなみに使えるようになってきたということでしょうね。GigaStudioも登場したのも去年の5月で、160音同時発音させるには、P3-800MHz以上のCPU、7200rpm、シークタイム9ms以内のディスク、256MB以上のメモリが必要らしいので、最新のハイエンドマシンじゃないと駄目ですね。
僕はCsoundを使っていて、あまりの遅さにたまらなくなり、パソコンをレベルアップするかなと思っていたら、これを発見。Athlon TH 1GHzにレベルアップしちゃいました(^^;;;。
・ 僕のハード構成
CPU AMD Athlon TH 1GHz, Memory PC133 512MB, HD ATA100 7200rpm 30GB×2,Audio Cardは EgoSys Waveterminal 2496 という構成です。NemeSysのウェブサイトの情報では、もうちょっと下げた構成(800MHz, 256MB, 10GB×2)でも、OKみたいです。
このうち、一番クリティカルなのがディスクです。できる限り高速なやつにして、更にサンプル用のディスクを別にもつことがポイントです。それ以外は、室内楽レベルだったら、もっと低いレベルでも十分みたいです。NorthernSoundに情報は一杯ありますので、そっちを参照されるといいです。
・ GSt用ハードを構成する時のアドバイス
教唆煽動ついでに(^^;;;、アドバイスを三つ。
GStを動かすことを考えると、CPUのアップグレードよりディスクの追加を優先するべきです。同じATA100でも、1年前の機種と最新のものではかなりの速度差があるようなので。あとメーカによる速度差も相当あるみたいなので、ウェブサーフして情報を調べてから、機種を選択した方がいいです。
マザーボードはASUSのATA100インタフェースをオンボードしたものをお勧めします。ASUSはPromiseというアメリカの会社のチップを使っているのですが、高速なので定評があります。
オーディオカードはEGOSYSのものは日本で売ってないかもしれないので、日本語のウェブサイトの情報を参考にして選ぶといいと思います。30k円位で結構いいやつあるみたいです。
・ ハードディスク容量GStそのものはそんなに大きいプログラムじゃないので、たいした容量はいらないです。いろいろなサンプルを全部ディスクに置くとなると多少容量があった方がいいかなということです。室内楽だけということなら、10GBもあれば、十分だと思います。
・ IDEディスクの高速化について
ディスクのATAというのは、IDEのディスクをパソコンに繋ぐ規格のことです。後ろの数字は転送レートのことで、100だと100MByte/secの意味ですね。ノートでも最近はATA100を内蔵したものが出ているので、問題ないでしょう。
・ ハードディスクの性能
ディスクの性能については、ここ
http://www.tkcity.net/~nobusan/hardware/boot_hdd/index.html
「ハードディスクのパフォーマンスについて」に詳細に説明されていますので、是非ご覧になるといいです。
で、以下、それを前提に書きますが、
現時点のIDEの最高速は40MBytes/sec位ですので、ATA66で一応カバーしているということになります。ただ、ATA66だと、ほとんどアローワンスのない状態になるので、100を使っておいた方が安全ということだと思います。
SCSIの場合は15000回転のものがあるという理由と、シークによるデータ転送のロスを減らすしくみがあるという理由で、多分、最高速は80から100MBytes/sec程度はいくはずで、Ultra160であまり余裕のない状態になるということになります。高密度化によるハードディスクの性能拡大ですけど、ここのところ2年で倍増というペースですかね。PIO4->ATA33->ATA66->ATA100とインタフェースが2年単位位で切り替っているのはディスクの性能のアップに対応するためだったわけですから。まあ、しかし、結果として、2年おきに新インタフェース対応のマザーボードに変える必要が発生し、皆様方の散財は限りなく続くということになります(^^;;;。
・ ディスクベースの仕掛け その1
GStのサンプルの呼び出し方ですが、サンプルを最初にロードする時、そのサンプルの頭の部分だけメモリ上に読み出しておいて、後は実際に発音をはじめると残りの部分を追っ掛けて読み込むという方式をとっているようです。この方式は、他のサンプラの全てをメモリに置く方式と比較すると、サンプルの大きさをメモリサイズの制約なしにできる、最初のサンプル読み込み時の時間を短縮化できるなどの大きなメリットがあるのですが、ディスクのスピードが勝負となり、音を出す時間にディスクの読み出しが間に合わないと発声できない音の部分はノイズとなります。
あと、この方式でノイズを避けるという意味ではバッファの長さが関連するのですが、そちらは「その2」で。
・ ハードディスクの性能とGStの同時発音能力について
GStはディスクベースなので、ディスクの転送能力以上に同時発音させようとすると、確実にノイズがのるはずです。音を出そうとしても、出す音を読み出せないから、ノイズになるという訳です。
動かしているシステムのディスクの転送能力はベンチマークプログラム(Dbench32というやつがお勧めです)で分かりますので、計算して(1ミリセカンドあたりの転送バイト数を176で割る)、同時発音数をそれ以下にすれば、ノイズは起きないことになります(もちろん、OSのチューニングがちゃんとされているという前提ですが)。
ディスクインタフェースの実効のデータ転送能力は規格の半分位ですから、ATA33だと、1msあたりの16000から17000バイト位のデータを転送できることになります。16000÷176=90ですから、80から100音位は同時発音できるはずです。ちなみに、176というのは1音(ステレオ)の分解能44.1KHzでの1msに処理しなければならないバイト数です。逆に160音同時発音させるにはどの位の性能がいるかという160×176=28160bytes/secとなり、これはATA66以上の72000rpmのIDEのディスクならクリアされている値です。
160音同時発音のGSt160は2000年の5月に発売開始されていますが、これはちょうどこの時期にATA66が普通になり、ATA100の規格のディスクも登場し始めたということと関係するはずです。
・ ディスクベースの仕掛け その2
だから30KBytes/sec以上のディスクであれば、160音同時発音できるはずなのですが、そうは問屋が卸さない。ノイズがのったりしますよね。この理由は、ディスクのアクセス時間にはアームが移動するシーク時間というのがあり、複数のサンプルを同時に鳴らしていると、サンプルを置いてある場所が違うため、この時間が入るためです。このシーク時間の値は最新のIDEのディスクで平均8ms位です。
GStのハードウェアの設定でバッファ長を指定できるようになっていますが、こういうディスクのアクセスに余計な時間がかかることを考慮し、バッファにある一定量のサンプルデータを置いておいて、音を出すタイミングに間に合うようにしているという訳です。このバッファ長、ディフォルトでは1000バイトですが、これは、1000÷176=5.6ms位でサンプルの次の音の部分が読み出せるだろうという前提の設定値です。そうすると、「なんだ、それならバッファの値を大きくすれば、ノイズがなくなっていいじゃないか。たったの1KByesなんてケチなことは言わないで、俺のマシン、メモリはふんだんにあるから、もっと大きくしよう」となるのですが、またまたそうは問屋が卸さない。
実はバッファ長はレイテンシ(発音操作から発音までの遅延時間)と関連しています。バッファ長が大きくなるとそれだけ時間に余裕ができるので、のんびり音を出してもいいということになって、どうしても発音操作から音が出るまでの時間は長くなってしまうのですよね。ディフォルトの1000という値はレイテンシを10ms以下(普通の楽器でもこの位のレイテンシはあり、人には問題とならない値)に抑えるためには、この位という値なのでしょう。
ただ、レイテンシに多少の許容度があれば、バッファ長を大きくしてノイズの発生を抑えることはできます。それじゃ、どうやってディスクのトータルのアクセス時間(シーク時間)を小さくするということになるのですが、次で。
・ サンプル用ハードディスクのパーティションの切り方について
GStを使う時、プログラムとサンプルは別のディスクに分けディスクを高速化させるといのは常用のTipsですが、それではサンプル用のハードディスクのパーティションをどうするかについてはあまり情報がないのですけど、僕のやっている方法をご紹介します。
上記(ハードディスクのパフォーマンスについて)のサイトにも情報があるようにハードディスクって円盤の外側の方が内側よりかなり(30%から40%位)高速です。これを利用する。
具体的にはサンプル用のディスクが60MBだとすると、これを15MBと45MBに分けて、頻繁に使うものを15MBの方に移して使う。こうするとハードディスクの速い方の値でアクセスできることになり、同時発音という面では有利になります。
また、こうすることにより、シーク時間も平均の1/4となりハードディスクのトータルのアクセス時間を小さくできます。
・ サンプル用ハードディスクのデバイスの置きかた
関連する話題で、Nemesysの技術者が答えているメッセージがありました。ご参考になると思いますので、引用しておきます。Gigaのアメリカのメーリングリストからです。
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Hello Damon,For IDE hard drives, it is best to have the sound playback drive installed to the secondary IDE connector as a master and by itself. Adding another device to the same IDE connector can drag the polyphony down 30 or more notes in some cases. The PrimaryIDE connector should have the system hard drive as the master and the CD-ROM drive as the slave. You can add more drives to the secondary IDE connector but keep in mind that it could result in a loss of polyphony. Also, hard drives of different speeds - ATA33, 66, and 100 - on the same IDE channel will revert to the speed of the slowest hard drive on thatchannel.
(以下略)
Kevin
Nemesys Music Technology
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投稿者はNemesysの技術者です。要するに、「サンプル用のディスクはセカンダリーのマスタにつけろ。セカンダリーは独立させて、CD-ROMなり他のディスクは付けるな。同じチャネルにATA33, 66, and 100のディスクを混在させると、一番遅いやつに足をひっぱられるぞ」ということです。
the polyphony down 30 or more notes in some cases 「場合によっては、30以上の同時発音数の現象になる」ということなのですが、こういう数字が具体的に書かれた書き込みは初めて詠みました。でこのあと、「Cubaseのオーディオトラック用にsecondary IDE connectorにディスクを増設し2台構成にしたいのだけど」という質問が出て、
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That all depends. As far as IDE performance, you will get less thoughput (meaning less polyphony) with a slave IDE device attached to the same IDE channel as the secondary master. Regardless of which drive you place your gig samples and which drive you place your audio tracks, they all have to share the same IDE channel. Performance is going to be compromised. How much that compromise in performance equals depends on the speed of the IDE hard drive controller and the drives attached to that controller. It has been reported to reduce the overall poyphony as much as 30%.On the plus side, an additional IDE drive will yield a lot more storage space. So, you see there are benefits as well as drawbacks to installing an IDE hard drive as a secondary slave. The choice is ultimately up to you.
Kevin
Nemesys Music Technology
-----------------------------こっちも、ほぼ、同じような内容ですが、「IDEの性能に関しては、マスタ、スレーブ両方にディスクが接続されていると、どこにどのファイルを置こうと、チャネルを共有することになるので、確実にスループット(同時発音数)は低下する。どの位の低減になるかはハードディスクとコントローラの性能次第。30%位の同時発音数の低下になった例もある。IDEの増設はディスクの容量の増加というメリットはあるから、どっちをとるか自分の責任で判断してくれ」ということです。
ATA規格って、デバイスの競合は全て待たせるという仕様だから、こうなっちゃうのでしょうね。
・ デフラグのすすめ
GStのTipsでデフラグをやれというのがあります。GStのReadMeでもデフラグはまめにやるよう書いてありますね。極端なやつだと毎日やれなんて書いてある。「あんなに時間のかかる処理、毎日やっていたら、たまらない」とお思いでしょうが、これには訳がある。
サンプルを入れたり、削除したりを繰り返すとディスク上でデフラグメンテーションが発生します。デフラグメンテーションというのはファイルが断片化されてディスク上に書かれるという意味です。これが起きるとファイルを読み出しに行った時、連続して読み出すことが出来ず、ディスクの回転待ちの時間とかシーク時間が入りトータルのアクセス時間が大きくなってしまうのですよね。
このためにも、頻繁に使うサンプル用のパーティションは小さめにとり、まめにデフラグをやった方がいいでしょう。
・ お勧めのハードディスク その1
IBMの60GXPって新シリーズいいですよ。皆様の散財報告に感化されて(^^;;;、ついフラフラ、今日買っちゃったのですが、ベンチマークしたら、40MBytes/sec位の性能でした。お勧めです。
・ お勧めのハードディスク その2
Seagateの1プラッタ40GBのディスクは相当に良さそうですね(アメリカのGigaのメーリングリストの情報からです)。
http://www.anandtech.com/news/shownews.html?i=13643&t=pn
新しいハードなので、初期障害の可能性はあるので、すぐに採用するかどうかは要一考ですが。
・GStとメモリ
GStを動かすのにどれくらいのメモリが必要かということについてですが、NemeSysの推奨値は256MB。「ただ、そんなもんじゃ、足らない。オーケストラをやるのだったら最低でも512。理想的には768」というような情報があります。どっちが正しいかですが、僕が使っている感じでは、NemeSysの推奨値は256MBで十分なのじゃないかと思います。
僕のマシンは512MBあるのですが、メモリの使用率が室内楽(楽器数が20以下)で20%以下、オーケストラ(楽器数が50以下)で40%位です。
上に書いたようにGStを動かす場合、メモリはバッファとして使われるだけなのでサンプル数×パッファ長で必要なメモリ量が計算できるはずですが、バッファ長を6KBytes(トリプルバッファリングしていると仮定して、2KByets×3)、サンプル数を2000()(1楽器50音で構成され、ステレオと仮定して、20楽器×100)として12MB、楽器数50としても、その2.5倍の30MB程度ですから、まあ256MBあれば十分ということなのかなと思っています。
・ GSt専用機について
Gigaのフォーラムを覗くと、半分はMacユーザ(Gigaを動かすためにGSt専用機としてWindowsマシンを導入している方々)ですから、正解かな。GStに関してはまだ不安定なソフト(ハード、ソフトの環境次第では、ノイズがのったり、ちゃんと動かない^^;;;)ですので、専用機にするというのが一番確実ですね。どんなハードがいいのかという点に関しては、Gigaのフォーラムを見て、こんな環境だとちゃんと動いているという情報がありますので、それをマネするのが一番確実です。
・ デュアルブート化(パソコン1台で専用化する方法)
98-98のデュアルブート化しちゃえば、一台で十分です。僕はmbmというフリーのブートローダを使って、この方法をとっています。
・ ノートブックでGStは動くか
動かすことはできるみたいですね。northernsoundsのフォーラムで「ノートでGigaを動かす」というような書き込みを読んだことがあります。
気になるのはノートだとディスクが増設できないことですかね。Gigaではサンプルとプログラムを別のディスクに置いて、ディスクアクセスの高速化を維持するという手法が推奨されていますので。
・ CeleronでGSt160の同時発音数はは動くか
なるほど。120-130音を超えるとノイズがのりますか。
多分、CPUの性能の問題だと思いますが、ちょっと意外ですね。メモリはよほどサンプル数の多いパッチを読み込まない限り、256MBあれば十分のはずですし、HDは、皆、同じ機種ですから他で同じ問題が起きてもいいはずだから。あとノイズののる原因としては、オーディオカードのドライバのパッチが古いというケースとか、オーディオカードの差す位置によって他のカードとの割り込みのぶつかりで問題を起こすケースとか、ヴィディオカードの機種による問題が起きるケースとか、メモリの品質によるケースとかあるのですが、2台とも同じとすると、これらのケースは考えにくいですから。
850MHzといえども、セレロンじゃ160音同時発音は難しいということなのですかね。
・ デュアルディスプレイ
ディスプレイをCRTと液晶の2台構成にして、マルチディスプレイ構成にしたのですが、これは便利ですよ。CakewalkとGigaStudioの画面を同時に表示して、操作できるので。2台いらない時は、液晶の方をテレビにして、インタネットしながら、テレビが見られるし(^^;;;。
・ サウンドカードについて
Delta1010は、Gigaのフォーラムの情報によれば、超お勧めのオーディオカードらしいです。ただ、ちょっと(というか、とても)高いので(800ドル位したと思いました)、アマチュアには手を出せないなぁ。
EgoSysという韓国の会社が出している製品で、WaMiRack24という製品があるのですが、Analog 8in&8out、SPDIF 4in&4out、24bitという仕様(1010と同じ)で、MIDIは4port(64ch=16x4)ついています。価格は安く(500ドル位)、評判はいいし、Gigaとの相性も悪くないです。
僕が使っているのはこの廉価版でWaveTerminalという製品です。音は悪くないです(SBLiveとの比較ですが^^;;;)。SBLiveって、中途半端だと思います。いろいろ機能満載なのだけど、どれも最高水準じゃないという意味で。音を出すだけなら、yamahaのチップを使った安いやつで十分だし、本格的にやるなら、ちゃんとしたオーディオカード買った方がいいと思います。
・ MIDI入力について その1
MIDIに関しては、「USBタイプのものはレイテンシの問題があるので、使わないでくれ」とGStのReadMeに書いてありますので、注意された方がいいと思います。この件、Gigaのフォーラムでもよく話題になっています。大部分は「そんなこと言ったって、今時のWindowsマシンにUSB以外のMIDIインタフェースなんか無いぞ。どうすりゃいいのだ」という内容です(どうしようもないらしいです^^;;;)。
USBタイプのものはやめた方がいいです。僕は詳しくないのですが、技術的にはレイテンシが避けられない方式らしいので。USB1.0規格に関していえば、あれはマウスやプリンタを繋ぐためのインタフェースでして、音楽をやるためのインタフェースじゃないみたいです。
・ MIDI入力について その2
とりあえず、一番安上がりに済ます手としては、シリアルのクロスケーブルを使って、ヤマハのCBX用のシリアルのドライバを使うという手があります。
http://www.yamaha.co.uk/xg/html/software/s_serial.htm から自由にダウンロードできます。ver1.85-3E以上を使えば、5ポートまで対応していますので、GStを使って、PC-PC接続するGigaユーザの定番らしいです。PC-MACになった場合、MAC側のドライバも必要ですが、多分ご存じですよね。
・ MIDインタフェースの確認方法
コンパネ -> マルチメディア -> デバイス -> MIDIデバイスと機器でインストールされたMIDIインタフェースがちゃんと表示されていますか。表示されていれば、接続がおかしいか設定がおかしい。表示されていなければ、イントールが正しくされていないです。とりあえず、これを切りわけて下さい。
DeltaのMIDIと比較してどうなっているかをチェックすれば、分かりやすいと思います。