MPD with RTopt patch のgit(0.17)版バイナリを差し替えました

タイトルの通りです。ここのリンク先の0.17git版のバイナリを入れ換えました。

掲示板で綿々とやりとりして判明したのですが、0.17gitには

  • ソフトウェアボリュームを使い
  • 音量を99%以下に設定して
  • 24bitsのソースを再生する

とノイズが出るという障害があります。他にもgit版の日付によって24bitsのwavやflac再生で問題が発生することがあります。
詳細については掲示板をトピック表示させて

「mpdをmakeしてみました」~「mpdをmakeしてみました(6)」

というツリーを参照して下さい。
おつき合い頂いた Phoeniciaさん、yanさんにお礼申し上げます。

差し替えた版はこのソフトボリューム問題に対応するyanさんのパッチをかけ、かつ他の問題の発生しないgit版を使いビルドしたものです。
使用したコンフィグは以下の通りです。

#!/bin/sh
./configure \
--disable-bzip2 \
--disable-iso9660 \
--disable-zzip \
--enable-id3 \
--enable-sqlite \
--enable-ffmpeg \
--enable-alsa \
--disable-wave-encoder \
--enable-pipe-output \
--enable-httpd-output \
--disable-recorder-output \
--enable-sndfile \
--enable-oss \
--enable-shout \
--disable-pulse \
--disable-ao \
--disable-mad \
--disable-inotify \
--disable-ipv6 \
--enable-curl \
--disable-mms \
--disable-wavpack \
--disable-lame-encoder \
--disable-twolame-encoder \
--enable-vorbis \
--disable-lsr \
--enable-rtopt \
--with-zeroconf=auto \
CFLAGS="-O2 -mtune=i586"

インストール方法についてはAvahi 対応した MPD with RTopt patch のバイナリを公開しましたを参照して下さい。
インタネットラジオ対応してありますので、ディフォルト状態のVoyage MPDではエラーになります。
対処方法はAvahi 対応した MPD with RTopt patch のバイナリを公開しました(2)を参照して下さい。

(4月1日追記)
sqliteをenableにしているので、これもライブラリを入れておく必要がありますね。
やり方は

apt-get install aptitude
aptitude install sqlite3 libsqlite3-dev

です。

(PC_Audio)   2012/03/25

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ルビジウムを導入しました


HD-7Rbというルビジウムマスタクロックジェネレータを導入しました。素晴らしい音になりますね。getして一月以上たちましたが、毎日いろいろな録音を聴き直し、幸せな日々を過ごしています。

HD-7(192)ファームウェアの更新でフェーズテック社からファーム更新済機器と一緒に試聴用にルビジウム(HD-7Rb)が送られてきました。

最初、HD-7(192)に繋いだ感想は「音がバラバラ。たいしたことはないなぁ。何故、雑誌であんなに評判になるかな。変だなぁ。」というものでした。
ところが電源を入れっぱなしにして3~4日たつと、どんどん変わる。「あれどうなっているの」とビックリ。とても滑らかで自然な音になってきました。そのまま繋いで一週間、素晴らしい音になりました。この機械、かなりのスロースタータですね。
10日間程試聴。返却しなければならなくなった時はこの音なしでは音楽を聴く気にならない身となってしまったので(^^;;;、フェーズテックの方にお願いして、オーディオ店を紹介してもらい、getしました。

ルビジウムの有無の違いはハイブリッド型SACDのSACD層の音とCD層の音の違いという感じです。同じ音なのだけど、品位とか雰囲気とか臨場感がまるで違いますね。ルビジウムによってホールの一番良い席で聴いた演奏が聴けるようになったと思います。
レコード芸術の今月号で吉田秀和さんがSACDの音を「このごろはSACDとかいうものが出てきて、それできくと、かってきいたのとおなじ演奏家の同じ曲でも、上手に皮の剥けた果物でも口にいれたみたいな新鮮な味がする。」と書いているけど、まさにその通り。ルビジウムを通すとそういう感じになります。

フェーズテックの方から「ルビジウムはいろいろな種類のものが売られていて、それぞれに固有の音色がありますので、是非お好みのものをお選びください。」というアドバイスを頂戴しましたが、試聴して良さは十分わかったし、ペアになっている製品を選んでおけば後悔することはないだろうと考えHD-7Rbにしました。

問題点が一つ。雑誌のアドバイスによると「電源の干渉があるので、上下二段置きはするな」ということなので、何とかしようとしたのですが、オーディオラックに空きがない。仕方がないので写真のような配置にしているのだけど、ちょっとスマートじゃないのですよね。

(PC_Audio)   2012/03/18

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Raspberry Pi


シンさんのサイトで知りましたが、これは凄いですね。さっさとalixなんか捨てて(^^;;;、こっちに行った方がいいのじゃなでしょうか。

設計者のコメントは下のビデオ。


debianのインストール方法はこちら。


YouTubeで「Raspberry Pi」で検索すれば情報は山ほど出てきます。
今や、文字情報よりビデオ情報の方がメイジャーになっているのですね。「うーむ」だなぁ。

文字情報の方はここ(本家のFAQs)にあります。Quick Start Guideもあります。
英文なので、FAQsの内容を簡単に紹介します。

Raspberry Pi はクレジットカードと同じ大きさのコンピュータ(SoC)。
ARM1176JZFS, with floating point, running at 700Mhz, and a Videocore 4 GPU
256Mb RAM, 2 USB port and an Ethernet port
です。
CPU性能とメモリ容量はSheevaPlugより弱いが、 The GPU is capable of BluRay quality playback, using H.264 at 40MBits/s. It has a fast 3D core accessed using the supplied OpenGL ES2.0 and OpenVG libraries.
だそうで、これはちょっと凄そう。
ARM11を使った理由は Cost and performance。
特長はグラフィックで roughly equivalent to Xbox 1 level of performance で、全般的な性能は a 300MHz Pentium 2 だけど、only with much, much swankier(いかした?) graphics だということです。
ブートは SD card からだけ、a USB HD は引き継ぐこと(Linux本体はHDにおける ?)が出来る。
電源オンオフスイッチはないので、プラグの抜き差しでやってくれ。
RTCはないけど、GPIO pinsを使って追加は出来る。
メモリは256MB固定で増設できない。
キーボードやマウスはUSBポートが二つ(Model B)あるので、それに接続。
ケースは今年の夏位にリリース予定。
ディスプレイは There is composite and HDMI out on the board なので、それに接続できる(VGA supportはなし)。
電源は The device is powered by 5v micro USB.
OSは Fedora が recommended distribution であるが、another ARM Linux distro も可能。Fedora, Debian and ArchLinux will be supported from the start.
Android は 256MB of RAM で動くヴァージョンを誰か開発してくれれば出来るかもしれない。
Windowsは「We are not partners with Microsoft, and their support would be required for porting Windows 8.」だそうです。
SD cards は32MBまで可能。USBメモリ、HDも使える。
The Model B は 10/100 wired Ethernetをサポート、Wi-FiはUSBでやってくれ。
Gigabit Ethernet は USB 2.0で対応出来る(driven via )ので非サポート。


というところです。
箱なしで3400円だから、箱付きでもたいしたことはなさそう。試してみる一手かな。

(PC_Audio)   2012/03/11

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掲示板スパム


掲示板スパムの来襲が凄いです。掲示板への投稿アクセスはログをとっているのですが、ここのところスパムのアクセスが一日数十件。あちらこちらの検索エンジンに登録され、スパマーに知れ渡ったということなのだろうけど、迷惑な話ですね。

掲示板のスパム対策については、インタネットに情報はいっぱいあります。以前の記事「掲示板のアドレスを変更しました」に紹介しましたが、他にも、ここは参考になります。
ただ、最新のスパムはこれらのサイトに書かれている対策では防ぎきれないやつが登場しています。上記リンク先の情報に基づき対策したのですが、それらをくぐり抜けてアクセスし、書き込まれる事態となったので、掲示板本体のアドレスを変え、緊急避難。古いアドレスはそのまま残し、スパムの挙動を観察しました。
大部分のスパムは上記のインタネット情報の対策で撃退されるのですが、一匹だけフォームを読み出し、暗号化してある投稿キーを解読し、書き込むという高度なやつがいることが分かりました。
なかなかやるものですね。

インタネット情報による対策で防ぎきれなかった例です(対策前のやつなのでちょっと古いです)。

z12516
-----------------
2012/01/18 14:33:25
わかりません

男なら
べっ、べつにアンタのためじゃないんだからね!+.(・∀・).+$ http://jn.l7i7.com/
http://l7i7.com/
4875
-----------------
49.240.241.92
regist
Open Error: ./xxx/xxx.xxx
http://mimizukobo.sakura.ne.jp/cgi-bin/regist.cgi

一番上の行がフォームの書き込みエリアのアクセス名(スパム対策のためランダムに変えています)、以下、名前、メールアドレス、タイトル、本文、URLと続き、次が投稿キー(フォーム上は暗号化されています)です。
綺麗に解読されています。ログファイルはライトプロテクしてあるので、最終行の一行上でエラーになっていますが、通常なら書き込まれてしまいます。

何故、暗号化してあるデータがばれてしまうのかと registkey.pl を修正して、調べてみました(暗号化の方法の変更する、フォームデータに暗号キーなしでやりとり可能なようにするなど)。
どうも、コイツは暗号解読できているわけではなくて、フォームを直接読み出し、画像データの内容を解析しているようですね。やるものですなぁ。

ググッてみたら、ここに情報がありました。

という次第で、投稿キーを文字入力(内容はランダムに変更)する方式に変更しました。
文字フォントを多少解読しづらいものしましたが、Voyage MPD 関連のキーワードを使っているので、問題ないかと思います。

以下、備忘録代わりに YY-BOARD にとった対策をメモしておきます。

yybbs.cgi メイン
&rndGetによるアクセス名の取得
read.cgi 投稿データ(log.cgi)の表示
&rndGetによるアクセス名の取得
admin.cgi 管理者処理
&rndGetによるアクセス名の取得
regist.cgi 投稿の受信処理
&rndGetによるアクセス名の取得、ランダムな投稿キーによるキー(&rndikeyGet)の取得、ログ取得(&write_hoihoi)
init.cgi 初期値の設定と共用関数
ランダムな書き込みエリアのアクセス名(rndGet)と投稿キー(rndikeyGet)の取得関数の追加、エラー処理(error)でのログ取得(&write_hoihoi)、ログファイル書き込み(write_hoihoi)関数の追加
registkey.cgi 投稿キーの画像表示
&key_imageを文字キー表示対応
lib/registkey.pl 投稿キーの暗号処理
&registkey_chkを文字キーチェック対応
lib/form.pl 投稿フォームの生成
投稿キーの文字キー対応

投稿キーの文字化に関していうと最後の四つのスクリプトの変更だけですので、対策は比較的簡単です。

(internet)   2012/03/06

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最新版のMPD_git 0.17に対応した rtopt patch(2)


yanさんより最新版のMPD_git 0.17に対応した rtopt patchを送って頂きました。ここからダウンロードできます。
Tuning Patch update for MPD(mpd-0.17git-20120226rtopt.diff.gz)というタイトルのものです。gzで圧縮されていますので、

gzip -d mpd-0.17git-20120226rtopt.diff.gz

で展開できます。内容は同名のdiffファイルだけです。
以下に、yanさんからのメールを引用しておきます。

0.17gitに対するrt-optのパッチを作成したので添付します。
このパッチで本日付け(2月26日)の0.17gitおよびJurgenさんのdsd-native対応版の両方で
rt-optが使えるようになります。

0.17gitが更新すればまたパッチがあたらなく事もあると思うので、これは単独
で公開したほうがいいと思います。


パッチの適用方法については以前の記事「最新版のMPD_git 0.17に対応した rtopt patch」を参照して下さい。


p.s. MPD0.17gitの最新版のコンパイルに関しては掲示板でいろいろ議論をしている最中です。 詳しくは

mpdをmakeしてみました
mpdをmakeしてみました(2)
DSDネイティブ再生するMPDの作り方
MPDとDSDのあれこれ

を参照して下さい。

(PC_Audio)   2012/02/27

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真っ黒けのCD


右の写真、何だと思いますか。
CDのレーベル面です。
なかなか凝っていて、LPレコードの溝まで再現してあります。
演奏する面が下の写真。
ご覧の通り真っ黒けです。

まあ、ポピューラ音楽のCDなら珍しくないのだろうけど、クラシック、それも中世ノートルダム楽派の音楽のCDで、こんなのがあるとは夢にも思っていないから、開けてビックリ。

ハルモニアムンディの廉価版シリーズの一枚。他のCDもこういうフォーマットなのですかね(デ・プレの「モテット集」、クレマンシックの「ルネサンス舞曲集」、バルトークのピアノ曲集など結構面白そうなCDがあります)。






CDの内容は右のリンク先にあります。廉価版になって再発売されたものですね。数日前、タワーレコード新宿店でgetしましたが、リンク先の方が安かったなぁ(^^;;;。

CDの見かけはユニークですが、曲、演奏はいたってまともです。名曲の名演奏だと思います。
昔、柴田南雄さんが「ベートーヴェンばかり聴いていないで、たまにはノートルダム楽派のオルガヌムを聴くとよい(その方が違う音楽の楽しみ方ができるので)」と著作に書いていたこと思い出しました。

早速、パソコンに取り込んだので、このLPもどきのCDとはオサラバです。

(others)   2012/02/03

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MPD の DSD対応(2)

掲示板でやりとりし、

MPDでDSDネイティブ再生
DSDネイティブ再生するMPDの作り方

dCS方式の再生が asoyaji さんのところでできるようになったので、ご紹介します。

本題に入る前に「DSDって何だ ?」という方もいらっしゃると思いますので、こちらを参照して下さい。
要するにSACDの基になる方式と考えていいと思います。パソコンでこれが再生できれば、SACDクラスの高音質をパソコンで実現できることになります。
ただ、まだ規格化があまり進んでいないし、対応するまっとう(?)なハードもほとんどなくて、あやしい(?)メーカの基盤を組み合わせて再生するというマニア向けの禁断の世界です。
僕はハードに関してはまっとうな(?)メーカの既製品を組み合わせ使うというちゃんとした(?)ユーザですから、指を銜えてながめているしかないのですが、asoyaji さんが「Voyage MPD でも dSC方式のDSD再生ができるみたいだけど、どうやりゃいいんだ」と質問されて、おつき合いしました。以下その報告です。
asoyaji さんのところで、DSDについてはここに、DSD-DACについてはここに、dCS方式についてはここに情報が満載です。

ここからが本題。
前回の記事に書いたように、Jurgen Kramer さん(オランダの方だと思います)が MPD の dCS対応のパッチを作成されました。パッチの紹介はKramerさんのサイトにあります。英文なので、簡単に紹介すると

  • linux版のmpd0.17gitに対応
  • Mytek など dSC方式に対応するハード専用で、PCとは firewireか USB2.0で接続
  • DFF(Philips format)とDSF(Sony format)を 176400Hz PCMの形をした dCSフォーマットに変換
  • 前進、交代のシークが可能
  • ID3などのタグに対応(詳しくはサイトを見て下さい)
  • 32ビットと24ビットのサンプルフォーマットに対応

となります。
mpd0.17gitでディフォルトでサポートされているdsdiff(PCM変換されます)とこのパッチでサポートするdsdiff_native(dCS変換されます)の区別は decoder の plugin指定で行うようになっています(詳しくはサイトを見て下さい)。
サイトからは Fedora 15/16 用のrpmとARM用のバイナリがダウンロードできるようになっていますが、DebianのVoyage MPD では動かなそうです。パッチはMPDの開発のメーリングリストに投稿されています。

このパッチを使って、asoyaji さんがトライしようということになりました。
まず、パッチから。
gmane.comp.audio.musicpd.develにあるパッチですが、掲示板の仕様で変な改行が入って、MPDにパッチがあたりません。そこで、yanさんが修正されたものが、パッチの展開の仕方と合わせて、ここにあります。

次に、mpd0.17gitのソースに対してこのパッチをかけビルドする必要があります。
asoyaji さんはMPDのビルドは初めてということなので、僕がやり方を詳しく書き込んだ内容とトラブルでやりとりした経緯はこの記事の最初に紹介した「DSDネイティブ再生するMPDの作り方」のはじめの方にあります。しかし、「apt-get upadte」と「apt-get upgarde」が必要というのを書かなかったのは、当たり前すぎて、盲点でしたね。

あとは、dCS方式のデータを受け取るハード環境のセットアップになりますが、こちらは僕はさっぱり分からないので(冒頭に書いたように禁断の世界です^^;;;)、asoyajiさんのサイトの記事をご参照ください。

p.s. しかし一つの記事にリンクが10個。こういうのを「人のフンドシで相撲をとる」というのかな(^^;;;。

(PC_Audio)   2012/02/15

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MPD の DSD対応

MPDの開発のメーリングリストで MPD の DSD 対応について、喧々囂々の議論がされています。このあたり、MPD開発の最前線ということになるかと思います。なかなか面白いので、ご紹介します。

New native DSD decoder plugin, some questions
Add new decoder for outputting DSD data to 'DSD-over-USB'

という二つのコメントツリーの紹介です。

本題に入る前に前提となる情報について解説します。

MPD は 0.17git版からDSD(dff)の再生が可能になっています。やり方は dsd -> pcm の変換して、フィルターを通して音を出すという方法をとっています。従って、従来の音源で普通に DSD(dff)ファイルを再生できます。
雑誌付録(PCオーディオファンのVol4に添付されていたもの)のdffファイルで試してみましたが、なかなかいい音です。同じ曲がdffと96Kのwavで収録されているのを聴き比べましたが、僕の再生環境ではほとんど差を感じませんでした。
問題点はこの方式は dsd -> pcm の変換をソフトウェアで行っていること。僕のatom環境ではCPU負荷が60%を超え時々音が切れてしまうという現象がおきます。ただこれは回避可能で /etc/mpd.conf のaudio設定で formatを強制的に指定すれば、発生しなくなります。
あと、ハードによって上手くいくものといかないものがあります。具体的にはフェーズテックの HD-7A(192)ではどうやっても音がふるえるような変な再生音になってしまいます。PS-Audio Digital Link とラステームのRUDD14では format を指定して、問題なしでした。

さて、DSDデータを取り扱う方式としては、もう一つの別の方式が提案されています。イギリスのdCSという会社が開発した方式で、ここに解説があります。内容についてはリンク先を読んでいただければ分かります。
基本的な考え方はWaveファイルのフォーマットをそのまま流用して、データ部分に1bit型のDSDデータをそのまま埋め込むというやり方をします。もちろん、こちらはこの方式に対応した専用のUSB接続の機器が必要です。論文に書かれているこの方式の特徴を紹介しておきます。

  • 1bit型のDSDデータをそのまま転送するオープンなインタフェース
  • USBクラス2をそのまま使ってDSD再生が可能(ドライバは USB audio class 2 をそのまま使える)
  • これは問題点だが、DSDとPCMはまったく異なったストリームなので、間違ってDSDに対応していないハードにこのフォーマットのデータが送り込まれると、とんでもない雑音が発生する。
  • 既存のwaveフォーマットを流用しているので、このフォーマットを使って再生ソフトを開発するのは簡単
  • 最後にこれが一番重要なことだが、この方式はハードでDSDストリームを直接処理できるので、最高の再生品質を保証できる

というところです。対応するハードについてはasoyaji さんのところにいろいろな情報がありますので、そちらを参照して下さい。

長くなりましたが、ここまでが前置きで、ここからが本論。

昨年の12月に Jurgen Kramer さんが MPDの開発のメーリングリストに「New native DSD decoder plugin, some questions」というポストをしました。内容は「dCS方式の DSD decoder plugin を開発したけど、どうすればこれをMPD本体に組み込んでもらえるの? 」というもの。
これに対して、MPDのチーフメンテナーの Max Kellermann さんが「dCS方式はPCMサンプルに1bitsサンプルを埋め込んだ変なフォーマットだねぇ(faked PCM samples)。waveファイルとして処理することは問題があるよ」と反応。以下、Kellermann さんの提案ですが、僕の技術力では上手く訳せないのでそのまま引用。

  • add a new audio format for DSD samples
  • implement conversion from DSD to PCM in the MPD’s PCM conversion library, calling the dsd2pcm code that already exists
  • remove dsd2pcm calls from the existing dsdiff decoder plugin, pass DSD to decoder_data()
  • add new audio format for “DSD inside PCM”
  • implement conversion from DSD to this “DSD inside PCM” format
  • add support for “DSD inside PCM” to an output plugin
  • now’s the time to add support for more tags or seeking to the dsdiff decoder plugin

ここに、0.17git版 DSD(dff)の再生の開発チーフの Jesus R さんが乱入してきて、「まあまあ、Kramer パッチは初物なのだから、多少の瑕疵は大目にみて、可能性はあるのだから、どう対応するか検討しよう」となだめにはいる。
さらに同じ開発チームの Bobby Beever さんが入ってきて、

  • add new audio format for “DSD inside PCM”
  • implement conversion from DSD to this “DSD inside PCM” format

という提案をする。
二人(Kellermann さんとBeever さん)の間で「こんなの(dCS方式)、PCMじゃないよ」とか「そうはいっても、とりあえずPCMを利用するにはこれしかないよ」というかなり激しいやりとりがあって、ようやく Kellermann さんが「しかたがないなぁ。まあ、そっちの提案する方式でやって頂戴」という感じで納まった。
Beever さんの最後のポストは次の通り。

I agree with you but I think it all has to do with the fact that the USB 2.0 Audio Class does not 
support native DSD and these vendors want DSD support in their hardware. It's may be shitty, 
but it is what it is.. Thank you for your suggestion, I'll make sure the plugin code remains 
as small as possible.

「It’s may be shitty, but it is what it is..」というのが凄いですね。

ということなので、一応、Kramer さんのパッチは修正されてMPDに取り込まれることになりそうです。

p.s. この続きは、yan さん、asoyaji さんが入って、掲示板の方でやっていますので、興味のある方はご参加ください。

(PC_Audio)   2012/02/07

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HD-7(192)ファームウェアの更新


右の写真、新旧のHD-7が二段積みになっていますが、何だと思いますか。HD-7の新旧比較ではなく、ファームウェアの変更を比較試聴中のオーディオラックの上段です。

フェーズテック社のブログに紹介されていますが、192K対応の HD-7 のファームウェアがレベルアップされました。

フェーズテック社から「このファームを Voyage MPD で動作確認してみない」というメールがあり、二つ返事で引き受けました。
以下、確認結果報告のメールから引用します。

テスト用のHD-7A192、昨日到着し、早速セットアップ。週末、良いのオーディオ音を
堪能しました。ありがとうございました。

まず、動作状況の報告ですが、Voayge MPD、Windows 7 共に問題なく動作しました。

居間のシステムに接続し、確認しました。
ハード構成は PC ShuttleX-27D Atom内蔵ベアボーン、amp Job Pre & 150×2, 
sp Elac330CE + SW(Elac) です。
Windows と Voyage MPD 0.8/0.75 はマルチブート構成です。Voyage MPD はカーネルを
Linux 3.0.9 RTパッチをかけたものにレベルアップしています。MPDもyanさんのパッチ
をかけた 0.16.5 に変更しています。
以上の構成でテスト用のHD-7A192は問題なく動作しました。
あと、Sheeva Plug(玄柴) の Linux 3.0 + MPD 0.17git 構成のPCに接続しましたが、
こちらも快調に動作しました。

? だったのは、Voyage では送っていただいたHD-7A192と手持ちのHD-7Aを同時に認識
できるのですが(従って /etc/mpd.conf を書き換えれば簡単に切り換え試聴できます)、
Windowsでは二台目を認識させることはできないですね。トライしましたが「最新の
ドライバに更新済み」といわれドライバの組み込みは出来ません。
まあ、HD-7A192 二台の構成なんてないだろうから、問題はないと思います。

ということで比較の試聴は Voyage MPD 0.8(RTパッチとyanパッチをかけたもの)で
行いました。届いてから電源は入れっぱなしにしてあります。

音の感想ですが、新ファームの方が圧倒的にいいですね。上記の通り切り換えて
聴き比べましたが、これだけの差があると古い方は聴く気にならなくなり、
もっぱら送っていただいたHD-7A192ばかりを試聴。ソースを取っ替えひっかえし、
終日、オーディオの醍醐味を楽しみました。

HD-7A から HD-7A192 でとても良くなったと思ったのですが、これはそれと同じ位
の差がありますね。僕のサイトで「HD-7A192 にレベルアッフして電源などによる
改良は凄いけど、USB 2.0による進化はあまり感じない」と書いたのですが、今回の
ファームはUSB 2.0による進化を実感させてくれました。
楽器(特にピアノや古楽器)の実在感やホールトーンの素晴らしさなどで比較に
ならないと思いました。

この後、自宅のHD-7Aのファームをレベルアップして頂きました。

HD-7Aを購入したのは2年位前ですが、この2年間のPC-Audio関係の機器のレベルアッフは凄いですね。
こういう形で、ハード、ファームのレベルアップで旧製品を最新の状態に維持できるのはありがたいです。HD-7Aを選択してよかったなぁと思っています。

以上、興味のある方は上記のリンク先のページでメールされるといいかと思います。

(PC_Audio)   2012/01/30

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Avahi 対応した MPD with RTopt patch のバイナリを公開しました(2)

メールと掲示板のやりとりで分かったのですが、インストール直後のクリーンな Voyage MPD 0.8 環境では下記のエラーになります。

Starting Music Player Daemon: mpd/usr/local/bin/mpd: error while loading shared libraries: 
libcurl.so.4: cannot open shared object file: No such file or directory
 failed!

理由はインタネットラジオを聞けるようにするため curl を enable にしたのですが、Voyage MPD 0.8 には関連するライブラリがインストールされていないためです。

対策としては curl を disable にしてある古いバイナリを使うか(後述)、関連する curl のライブラリをインストールするかです。
関連する curl のライブラリをインストール方法は以下の通りです。

root でログインして
apt-get install aptitude
aptitude install libcurl-dev libcurl4-openssl-dev

aptitude というのは apt-get の機能拡張版で、これを使わないと libcurl はインストール出来ないようです。
アップロードした版を curl を無効にしたものに差し替えることも考えましたが、聞けるラジオの種類が制限されることになるので、やめました。
「curlって何」という方はこちらを参照して下さい。

あと、「どこからダウンロードしていいのか分からない」というご質問があったので、返信したメールを引用しておきます。

MPDの最新版は下記のURLからダウンロードできます。

バイナリ
http://mimizukobo.sakura.ne.jp/articles/voyagempd.html#latestbianries
パッチ
http://mimizukobo.sakura.ne.jp/articles/voyagempd.html#patch

それぞれリンク先の
バイナリ
Download compiled binaries of MPD 0.17git appling Tuning Patch
Download compiled binaries of MPD 0.16.5 appling Tuning Patch
パッチ
Download Tuning Patch for MPD (mpd-rtopt-110605.tgz) by yan
Download Tuning Patch update for MPD (mpd-0.17-1123-rtopt.diff.gz) by yan
という部分(リンク)をクリックしていただければダウンロードできると思います。

バイナリというのはコンパイル済のそのまま実行できるもの、パッチはMPDのソース
コードに対する修正部分だけをまとめたものです。

パッチの方をご利用になる場合はMPDのソースコードをダウンロードし、自力で
コンパイルする必要があります。やり方は僕のサイトにありますが、Linuxに関して
ある程度の経験が必要かと思います。
バイナリ版でも上記リンク先のものは Avahi、インタネットラジオに対応させて
いますので、通常はこれで十分かと思います。
バイナイ版を使う場合も、パッチの内容を記述したドキュメントは
Download Tuning Patch for MPD (mpd-rtopt-110605.tgz) by yan
に同梱されていますので、これはダウンロードしておいた方がいいです。

あと、注意事項としては、Voyage MPD 0.8 では、MPD のヴァージョンが 0.1.65 
ですが、yanさんのパッチは 0.1.6 対応のものと、gitと呼ばれる開発版の 0.17 
対応のものがあることです。
Voyage MPD では、どちらも動作しますので、お好みで選択していただければいいと
思います。

yanさんのパッチをかけた MPDのバイナリは上記の他に、昨年の6月に公開した最初のヴァージョンも残してあります。
こちらは

http://mimizukobo.sakura.ne.jp/articles/voyagempd.html#bianries 

にリンクがあり

Download compiled binaries of MPD 0.17git appling Tuning Patch 
Download compiled binaries of MPD 0.16.2 appling Tuning Patch 

からダウンロード出来ます。どちらもインタネットラジオ非対応ですので、上記の curl ライブラリがないので、起動できないという問題は発生しません。

(PC_Audio)   2012/01/27

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「時の谺」 リサ・バティアシュヴィリ

リサ・バティアシュヴィリのドイツグラモフォンデビューアルバムです。バティアシュヴィリについては2年位前にN響と共演したショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第一番をテレビで視聴して、とても感心したことがあります。「バティアシュヴィリのショスタコーヴィチ バイオリン協奏曲 第1番」に書きました。
同じ曲を中心にロシア圏の作曲家のユニークな作品を集めて構成したもの。演奏、選曲ともに凄いです。

  • ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲第1番
  • カンチェリ ヴァイオリン、弦楽合奏とテープのための「V&V」
  • ショスタコーヴィチ 組曲「人形の踊り」から から「抒情的なワルツ」
  • ペルト 鏡の中の鏡
  • ラフマニノフ ヴォカリーズ

という内容。

カンチェリはグルジア、ペルトはエストニアの作曲家、どちらも育ちは旧ソ連。ソ連時代は異端のソ連発生のミニマール楽派(というのかな)に属する。ソ連崩壊で今は自国に戻り、独自の作風で作品を作り続けています。全然関係ないけど、バルトもエストニア出身なのですね。名前は韻をふんでいますが、関係はなさそうです(^^;;。
この二人の作品とショスタコーヴィチの異色の作品を組み合わせ、最後をラフマニノフで締めくくるという構成が凄いです。

演奏はどれも素晴らしいです。特徴的なヴァイオリンの音色を活かし、ショスタコーヴィチの暗さ、カンチェリの不気味さ、ペルトの能天気さ、ラフマニノフの甘ったるさなどどれも素晴らしく表現されていて、間然とするところがありません。ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲は、オーケストラが残念ながら(^^;;;こちらの方が巧いので、N響の時よりもっと良かったです。

しかし、この曲は本当に暗い曲ですねぇ。テンポの速い部分は一見明るそうにみえるけど、よく聴くとシニカル。作者の(ソ連スターリン体制に対する)悪意と絶望が手にとるよう分かるという仕掛けになっていますね。まあスターリンの生前に作曲されていながら、初演は死後というのはもっともです。こんなの生前に発表したら、一発でシベリア送りだったろうから。

ヴァイオリンの音が素晴らしく録れている録音も素晴らしいです。グラモフォンの録音としては出色の出来です。

(review)   2012/01/20

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Voyage MPD からホスト名で samba-NAS/Windows共有ファイルを接続

掲示板のやりとりでVoyage MPD からホスト名でLinux上のsamba-NASやWindows共有ファイルを接続する方法を見つけたので、ご紹介します。yanさんのアドバイスのおかげで気が付きました。ありがとうございました。また winbind を使う方法については、このページの情報に助けられました。作者に感謝します。

やり方は Voyage MPD 0.8 に winbind をインストールし、

apt-get install winbind

/etc/nsswitch.confに

hosts: files wins dns

と設定するだけです。
Voyage MPD 0.75 以前の場合は /etc/hosts が設定されていないので、

127.0.0.1 localhost voyage
127.0.1.1 voyage

と設定する必要があります。

以上で /etc/fstab に samba-NAS を

//samba-nas/CD /music1 cifs username=xx,password=,uid=root,file_mode=0666,dir_mode=0766,iocharset=utf8,rsize=130048,wsize=4096 0 0

という具合にホスト名で記述できるようになります。
samba-NAS のホスト名は /etc/hostname で分かります。

winbind は名前の解決だけのために使っていますので、インストール後、プロセスとして常時起動する必要はありません。sysv-rc-conf を利用して起動プロセスから解除しておいた方がよいかと思います。やり方は「Voyage MPD 0.8 のチューニング(1)」を参照して下さい。

winbind って何だという方はこちらを参照して下さい。
NetBIOS over TCP/IP という Windows間でファイル共有するプロトコルを利用していますので、Windows上に共有ファイルを置いている場合も Windowsのホスト名で共有ファイルをアクセスすることができます。Windowsのホスト名はWindowsのネットワーク機能で分かります。

Voyage MPD 0.8 を Windows からホスト名でネットワーク接続(Avahi/DHCP/iTunes)」に書いた MPDクライアントから Voyage MPD をホスト名でアクセスする方法と組み合わせると、Voyage MPD をホスト名だけで接続することができるようになります。

ホスト名
                    voyage.local           samba-nasホスト名 or Windows名
 +-------------------+       +---------------+        +---------------------------------+
 |Windows MPD Client |-------|Voyage MPD Host|--------|samba-NAS or Winddows-Shared-File|
 +-------------------+       +---------------+        +---------------------------------+
プロトコル名
                       mDNS                 NetBIOS over TCP/IP
使用機能
                Bonjour-------Avahi     winbind---------samba or MSネットワーククライアント

これでめでたく、Windowsユーザも ipアドレスと完全にオサラバできますね(^^)。

(PC_Audio)   2012/01/10

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新年のショピングモール

昨年11月、駅裏(今やこっちが表かな)にオープンした巨大ショピングモールです。中にはZARA、GAP、H&M、アルマーニなどのファッションブランド、本屋、楽器屋、ゴルフ屋、レストラン街、フードコート、シネマコンプレック、スーバ、食料品店、コンビニ、銀行など300店位入っています。新年から凄い賑わいでした。



実は3年前のお正月に同じ場所から写真をとりました。



その間、リーマンショック、東日本大震災、原発事故、欧州経済危機などにめげず、よく完成したものですね。
静かな町なのに、ここだけ都会の雑踏が出現するという感じです。富士山が見えなくなっちゃったのはちょっと残念。

(others)   2012/01/02

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